商売設計
既存顧客へ次の商品を提案する前に、次の課題を確かめる
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しろくま先生

今の支援が終わるとき、次に何を提案するかを自分の作れるものから考えると、必要とする人がいるかは作り終えた後にしか分かりません。顧客の次の課題を本人の言葉と行動で確かめ、支援・利用環境・紹介・見送りを選ぶ順序を整理します。
今の支援がもうすぐ終わる。成果も渡せた。では次に何を提案すればいいのか。
ここで多くの人が、自分が作れるものから考え始めます。手元の教材を組み直す、面談を月ごとの形にする、新しい講座を立てる。
この記事では逆の順番を取ります。次の商品は、顧客の次の課題から決める。そう置いたうえで、何をどこまで確かめれば決められるのかを見ていきます。
扱うのは、提案の前に確かめること、その確かめ方、そして「今回は提案しない」と決める条件までの一続きです。読み終えたときに、手元の顧客一人について次の一歩が決められる状態を目指します。
次の商品より先に、顧客が進みたい未来を確かめる
次の商品を考えるとき、問いは二種類あります。
売る側から始まる問いは「今あるものを、次は何にして出そうか」。顧客から始まる問いは「この人は、解決した後どこへ進みたいのか」。
前者でも商品は作れます。ただしその場合、それを必要とする人が目の前にいるかどうかを確かめるのが、作り終えた後になりがちです。
もうひとつ、よく起きることがあります。理想の顧客像を自分の頭の中で細かく組み立てる進め方です。年齢、職業、休日の過ごし方まで書き出すほど、目の前にいる顧客が「その像と違う」ように見えてきます。価値を感じてくれている人を、自分の想定に合わないという理由で候補から外してしまう。想像で作った人物像は、こうして自分の判断を狭めます。
確かめる対象は人物像ではありません。その人がどこへ進みたいか、です。
今の課題が解けた後に、何が変わるかを整理する
支援が効いたとき、顧客の状態は変わります。そして変わった先では、前には起きなかったことが起き始めます。
進められるようになったから、続ける方法が要る
できるようになったから、人に任せる形が要る
形になったから、届ける先が要る
解決は終点ではなく、次の入口です。一回の解決を点として見れば、そこで取引も終わります。解決した先に何が起きるかまで見れば、線になります。良い仕事をするほど取引が終わるという構造そのものは、良い仕事をするほど契約が終わる|成果提供型ビジネスの構造で扱いました。
ここで大切なのは、この「次に起きること」を自分で決めてしまわないことです。決めるのは顧客の状況であって、こちらの整理ではありません。
整理そのものは先にしておけます。ここで手を止めて、直近で支援を終えた顧客を一人だけ思い浮かべ、その人について次の欄を埋めてみてください。ここで埋めた内容は、この時点ではすべて仮説です。
欄 | 書くこと | 区分 |
|---|---|---|
支援前の状態 | 確認済み/仮説/未確認 | |
今の状態 | 確認済み/仮説/未確認 | |
顧客が語った望む未来 | 確認済み/仮説/未確認 | |
その未来に必要になる行動 | 確認済み/仮説/未確認 | |
そこで起きそうな次の課題 | 確認済み/仮説/未確認 |
右端の区分を空けたまま進めないことが、この表の役目です。
次の課題は、顧客の言葉と行動で確かめる
埋めた仮説を確かめる材料は二つしかありません。本人が語ったことと、実際に起きたことです。この二つを記録して、仮説と照らします。
まだ支援中の顧客、あるいは支援を終えた顧客に、次の順で聞きます。
今、困っていることは何ですか
最近、買ったもの・検討したものは何ですか
それを選んだ理由は何ですか
この先、どうなっていたいですか
逆に、こうはなりたくないという状態はありますか
すでに自分のサービスを受けた相手には、こう言い換えられます。
私のサービスで解消された課題は何でしたか
その課題が解けた後、どんな先が見えましたか
もしこのサービスがなかったら、今ごろどうなっていたと思いますか
聞いた後の扱いに、もう一手間かけます。顧客が言ったことと、自分が推測したことを、同じ欄に書かない。
確認済み — 顧客本人が言った、または実際にそう行動した
仮説 — 自分がそう考えている。まだ聞いていない
未確認 — 聞いたが答えが出なかった、あるいは人によって違った
仮説を持つこと自体は問題ではありません。仮説のまま商品にしないというだけです。
聞く相手は、想像の中の誰かではなく、自分と関わったことのある人にします。自分を通してどんな先を見ているのかは、架空の人物からは出てきません。
課題に合わせて、支援・利用環境・紹介を選ぶ
確かめた課題に対して、こちらが選べる形は一つではありません。
人が伴走する支援
顧客が自分で進められる利用環境
自分以外の人やサービスへの紹介
選ぶ順序があります。顧客側の事実を先に、こちらの都合を後に置きます。まず、その課題は顧客の言葉として確認できているか。次に、今の支援の成果が顧客の手元で回り始めているか。そのうえで、顧客がどんな関わり方を望んでいるか。ここまでが顧客側です。最後に、その望まれた関わり方を自分が良い形で引き受けられるか。引き受けられないなら、渡せる相手がいるかを見ます。前の問いで止まったものは、後ろの問いまで進めません。
手段は自分の商品の枠の外にもあります。別のやり方でも届く、別の人のほうが早い、ということは普通に起きます。そこまで見たうえで自分が引き受けると決めたなら、その商品は強くなります。見ずに引き受けると、途中で「自分でなくてよかったのでは」に変わります。
利用環境を渡す形を選んだ場合、顧客が自分で進める場所が要ります。saas biz では、POST、FUNNELS、WRITS、STEP、LEARN のうち、その顧客の行動に必要なものだけを組み合わせ、自分のブランドの場所として渡せます。どの形で提供するかを決めるのは、この記事の順番で言えば最後です。組み合わせ方はsaas biz のサービス概要にまとめています。
顧客が繰り返し必要とすることをどう見つけるかは、コンサルを月額化する前に、継続して提供する価値を決めるで扱っています。確かめた課題を具体的な形に落とす手順は、コンサルの知識を商品化する手順にまとめました。
継続を提案しない条件も商品設計に入れる
商品設計には、提案する条件と同じだけ、提案しない条件が要ります。
次のいずれかに当てはまるなら、今回は見送ります。
次の課題が、顧客の言葉として出てこない。自分の仮説しかない
課題はあるが、自分が良い形で引き受けられず、渡せる相手も思い当たらない
今の支援の成果が、まだ顧客の手元で回り始めていない
顧客本人が、しばらく自分だけでやってみたいと言っている
見送りは失敗ではありません。確かめられていないものを提案しないと決めておくことが、次に提案するときの根拠になります。
そして、見送ったからといって接点まで切る必要はありません。顧客が戻ってこられる場所の残し方は、契約が終わるたびに顧客接点が切れる状態から抜けるにはで整理しています。
まとめ
次の商品を作る前にやることは、五つです。
自分が作れるものからではなく、顧客が進みたい先から始める
解決の先に起きることを整理する。この時点ではすべて仮説として扱う
顧客の言葉と行動で確かめ、確認済み・仮説・未確認を分けて記録する
課題に合わせて、支援・利用環境・紹介のどれかを選ぶ
確かめられないなら、今回は提案しない
この記事の下敷き
この記事は、自社の講座で使っている教材から再構成したものです。
自社講座の商品設計回(後編)の教材 — 現状から望む未来へ、その先に次の課題が続くというロードマップの考え方、および「解決の先には課題がある」という整理
同講座のヒアリング項目シート — 現状の課題、望む未来、避けたい未来を別々に聞く質問の組み立て
顧客理解の講座「一次情報の重要性」— 想像した人物像ではなく、本人から得た情報を土台にするという原則
支援・利用環境・紹介・見送りという四つの分岐は、上の考え方を既存顧客への次の提案という場面に合わせて本記事で整理したものです。教材にそのまま載っている判断表ではありません。記事の著者名と更新日は記事ページの冒頭に表示されます。



