仕組みづくり
個人事業主の仕事を仕組み化するには|最初の一つを決める整理シート
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しろくま先生

仕事の仕組み化は、アプリの数や一番時間がかかる仕事ではなく、繰り返し手が止まり、進んだあとに次も使えるものが残る仕事から一つ選びます。六つの問いの整理シートと、始める・今の方法を続ける・先に判断するの三つの分かれ道で、自分の最初の一つを決めます。
「仕事を仕組みにしたほうがいい」とは分かっている。けれど、発信も、申込の案内も、原稿も、教材も、全部が気になって、どこから手をつければいいか決まらない。道具を一つ入れてみたものの、設定だけが増えて、実際の仕事は前と同じまま――。
先に答えを置きます。最初の一つは、アプリの数や機能の多さで選びません。いま手が止まる仕事と、その仕事が進んだあとに残したいものから、一つだけ選びます。 一番時間がかかる仕事が、いつも最初の候補とは限りません。
この記事では、自分の仕事から最初の一つを選ぶための整理シートと、「始める・今の方法を続ける・先に判断する」の三つの分かれ道を置きます。顧客向けの商品を先に作る必要はありません。まずは自分が最初の利用者です。
売上が増えるほど忙しくなる構造そのものは売上が増えるほど忙しくなる個人事業主へ――労働集約の不安から抜ける「自分の商品」の作り方で扱っています。ここでは、その次の「では、何から」に絞ります。
直近の実務を三つだけ書き出す
いきなり「仕組み化したい仕事」を考えると、理想の全体像を描き始めてしまいます。そうではなく、この一、二週間で実際に繰り返した場面を三つだけ書き出します。
たとえば、次のような場面です。
発信 — 投稿のネタを毎回ゼロから考えている
説明・申込 — サービスの説明を、DM や面談で毎回一から話している
案内 — 相談の申込があるたびに、同じ案内文を手で送っている
原稿 — 頭の中にある専門知識を、書こうとして毎回止まる
教材 — 受講者に同じ手順を何度も説明している
回数や時間の欄は、あえて作っていません。気になる人は、自分の予定表や送信履歴を見返して、実際に何回あったかを自分で確かめてください。ここで大事なのは数字の大きさより、「確かに繰り返していた」と言える場面かどうかです。
最初の一つを選ぶ整理シート
書き出した三つの場面それぞれについて、次の六つの問いに短く答えます。
問い | 書くこと |
|---|---|
いつ困るか | 手が止まる瞬間。「申込が来た直後」「投稿日の朝」など、場面で書く |
何が進めば助かるか | その場面で前へ進んでほしい仕事。機能名ではなく動詞で書く |
使った後に残るもの | 次も使える原稿、案内の型、見返せる説明など、手元に残る形 |
既存の手段で足りるか | 今のメモ、テンプレート、メール、表計算で十分に回っていないか |
人が決めること | 相手ごとに判断が要る部分。仕組みに渡さず、自分に残す部分 |
次に使う予定の場面 | 来週・来月、同じ場面がまた来る予定があるか |
この六つの問いは、「いまどこで止まっているか」と「どこまで進めたいか」を分けて書き、その間を埋める手段を最後に考える、という順番で並べています。道具を先に決めると、問いの答えが道具に引っ張られるからです。
三つの場面を並べて、「使った後に残るもの」と「次に使う予定の場面」が両方はっきり書ける場面があれば、それを最初の一つの候補にします。どの場面も書けなければ、次の節の「今の方法を続ける」か「先に判断する」に当たるかを見てください。時間がかかるだけで、残るものがない仕事や、次にいつ来るか分からない仕事は、後回しにしてかまいません。
作例: 相談申込のあとに送る案内
説明のための作例を一つだけ置きます。実在の方の事例や、測った結果ではありません。
問い | 作例の答え |
|---|---|
いつ困るか | 相談の申込が入った直後。案内文を毎回探して、少しずつ書き直している |
何が進めば助かるか | 申込した人が、相談日までに準備することを迷わず分かる |
使った後に残るもの | 当日までに届ける案内の型。「何を先に聞くか」「必ず入れること」「使わない言葉」が決まった文面 |
既存の手段で足りるか | 下書きメモからのコピーで回ってはいるが、送り忘れと書き直しが起きている |
人が決めること | 相談の中身に踏み込む返信、相手に合わせた提案 |
次に使う予定の場面 | 次の相談申込が入ったとき |
この作例では、「使った後に残るもの」が、ただの時短ではなく自分の進め方が入った案内の型になっている点がポイントです。質問の順番、文章のトーン、必ず入れる要素、使わない言葉。こうした自分なりの判断基準が道具の中に残ると、次の申込でもそのまま使えます。
始める・今の方法を続ける・先に判断する
シートを書いたら、次の三つのどれに当たるかを見ます。これは、この記事のために組み直した判断の補助です。効果を確かめた診断ではありません。
小さく試すのは、繰り返す場面があり、届ける中身が分かっていて、今の手段では送り忘れや書き直しが起きているときです。
今の方法を続けるのは、場面がめったに来ない、または今のメモやテンプレートで十分に回っているときです。道具を増やさないことも、仕事を整える判断の一つです。
先に判断するのは、何を届ければいいかがまだ決まっていないときです。案内の中身や説明の順番が固まっていない段階で道具を設定すると、設定を何度もやり直すことになります。まず自分で中身を決め、同じ説明が実際に繰り返されるかを確かめてから道具を選びます。
同じ説明や作業を、どの部分なら共通にしてよく、どの部分を人に残すかの詳しい切り分けは、顧客ごとの個別対応を減らす方法|共通化してよい部分・残す部分に譲ります。
選んだ一つに合うアプリを一つだけ当てる
最初の一つが決まったら、それに合うアプリを一つだけ当てます。機能の一覧から選ぶのではなく、今一番前へ進めたい仕事の場所として選びます。
選んだ仕事 | 当てるアプリ |
|---|---|
投稿案を毎回考えている | POST(SNS投稿) |
サービスの説明や申込の入口を毎回一から伝えている | FUNNELS(申込ページ) |
専門知識を長い原稿に残したい | WRITS(記事・原稿) |
同じ案内を順番に届けたい | STEP(ステップ配信) |
繰り返す説明を見返せる形にしたい | LEARN(講座・教材) |
作例の「相談申込のあとに送る案内」なら、当てるのは STEP です。説明の入口そのものも整えたくなったら FUNNELS を考えますが、それは最初の一つが動いてからで十分です。
設定の完了ではなく、次に使えたかで確かめる
一つ試したら、「設定が終わった」を成果にしないでください。確かめるのは次の三つです。
実務に使えるものが残ったか — 案内の型、原稿、教材一本など、手元に使えるものができたか
次の場面でそのまま使えたか — 次に同じ場面が来たとき、ゼロからではなく残したものから始められたか
人が決めることを手放していないか — 相手ごとの判断まで型に押し込んで、返信が雑になっていないか
何回使えたら合格、という基準はここでは決めません。自分の仕事で「次もこれを使いたい」と思えたかを、次の場面で自分で確かめてください。
二つ目は、一つ目が次の場面で止まったときに
二つ目のアプリを足すのは、一つ目の仕事が次の場面で止まったときです。たとえば、案内は順番に届くようになったのに、そもそも申込の入口が分かりにくくて相談が入らない。そうなって初めて、申込ページを足す理由ができます。
最初から全部をそろえる必要はありません。成長に合わせて一つずつ足していけば、どの道具も「何のために使っているか」がはっきりしたまま増えていきます。
自分の仕事で役に立った使い方を、いずれ顧客にも届けたくなるかもしれません。その場合は、自分に役立ったから顧客にも役立つ、とは考えずに、その顧客が何を望み、どの場面で止まっているかを別に確かめてください。顧客に届けるかどうかは任意で、届けたからといって続けて使ってもらえると決まるわけでもありません。顧客が自分から使い続ける形の考え方は、顧客に依存させず、選ばれ続けるサービスとは|囲い込みと役に立つ継続の違いで扱っています。
まとめ
仕事を仕組みにする最初の一つは、アプリの数でも、一番時間がかかる仕事でもなく、繰り返し手が止まり、進んだあとに次も使えるものが残る仕事から選びます。
直近の実務を三つだけ書き出す
六つの問いのシートで、残るものと次に使う場面を書く
始める・今の方法を続ける・先に判断する、のどれに当たるかを見る
始めるなら、一つの仕事に一つのアプリだけを当てる
次に同じ場面が来たとき、残したものを使えたかで確かめる
まずは書き出した三つの場面のうち一つについて、シートの六つの問いに答えてみてください。
自分の仕事で試す一つを、saas biz のサービス紹介で確かめられます。
この記事の下敷き
この記事は、自社の講座で使っている整理シート、説明会の資料、顧客向けの案内文の方針、現在のサービスページから再構成したものです。
講座の整理シート — 「いまの状態」「課題」「解決の手段」「目標」を分けて書き、手段を最後に考える順番
説明会資料の案内部分 — 「機能一覧ではなく、今一番クリアしたい仕事の環境」「成長に合わせて足していける」。質問・文章のトーン・必須要素・使わない言葉といった自分の進め方を道具に置くという考え方
顧客向け案内の方針 — 操作できたかではなく、目的が前へ進んだか、後日また使われたかで確かめるという確認の順番
サービスページ — まず自分の事業で使い、必要な一つから始め、顧客向けの提供はその後に決めるという順序
六つの問いの整理シート、作例、三つの分かれ道の図は、上の考え方を本記事で組み直したものです。資料にそのまま載っている表ではありません。作例は説明のための例で、実在の方の事例や効果を確かめた結果ではありません。記事の著者名と更新日は記事ページの冒頭に表示されます。



