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仕組みづくり

個人事業主の営業メールは何を書く?最初の一通を整える下書きシート

公開

約9分で読めます

しろくま先生

営業メールは自分のサービスを長く説明する文ではなく、相手について確かめた事実から「連絡する理由・提案を一つ・次の一歩を一つ」で組み立てる。六つの欄の下書きシート、架空の作例、送る前のチェックで、送らない判断も含めて最初の一通を整える。

自分のサービスを知ってほしい相手がいる。でも、いざメールを書こうとすると、自己紹介とサービスの説明ばかりが長くなる。「これを送って迷惑にならないか」と考えているうちに、下書きのまま手が止まる――。

先に答えを置きます。営業メールは、自分のサービスを長く説明する文ではありません。「なぜあなたに連絡したのか」「相手に関係する話は何か」「次に何をしてほしいか」を一つずつ確かめてから書きます。 そして、その三つが見つからない相手には送らない、と決めることも、下書きの大事な結果です。

この記事では、送る前に埋める下書きシートと、架空の作例、本文の組み立て方、送る前のチェックを置きます。例文をそのまま使い回すための記事ではなく、相手ごとに一通を組み立てるための記事です。返信や受注を約束するものでもありません。

営業メールが「自分の説明」になってしまう理由

書き慣れていないうちは、営業メールの中心が自分になりがちです。経歴、サービスの内容、できること。どれも伝えたいことですが、受け取る側から見ると「なぜ自分に届いたのか」が分からないままです。

相手が最初に知りたいのは、あなたのサービスの全体ではなく、この連絡が自分に関係あるかどうかです。だから下書きは、自分の説明からではなく、相手について確かめられたことから書き始めます。

もう一つ、手が止まる理由があります。相手のことをよく知らないまま書こうとして、相手の悩みや希望を想像で埋めてしまうことです。想像で書いた一文は、外れていれば失礼になり、当たっていても「なぜ知っているのか」と身構えさせます。下書きシートでは、確認できた事実と、自分の推測を欄ごと分けて書きます。

メール下書きシート――六つの欄を埋める

送りたい相手を一人決めて、次の六つの欄を埋めてください。

欄

書くこと

確認できた相手の事実

相手が公開している記事・案内・紹介文などから、実際に読んで確かめたこと。どこに書いてあったかも控える

連絡する理由

なぜ他の誰かではなく、この相手に連絡するのか。一文で書けるか

相手に関係する困りごとの仮説

事実から推測した、相手が抱えていそうな困りごと。「仮説」と明記する

提案できる一つの話

仮説に対して自分が役に立てそうな話を、一つだけ

返信しやすい次の一歩

相手に頼むことを一つだけ。重くない形にする

送る前の確認・送らない条件

送る前に確かめること。これに当てはまったら送らない、という条件

埋めるときの注意が三つあります。

一つ目は、「確認できた相手の事実」に推測を混ぜないことです。「受講後のフォローに困っているはず」は事実ではなく推測です。相手がそう書いていたなら事実の欄へ、書いていないなら仮説の欄へ入れます。

二つ目は、仮説の欄は本文で断定しないことです。本文に書くとしても「もしかすると」「〜の場面があるかもしれないと思い」のように、相手が「うちは違う」と言える余地を残します。分からないことは、送る前に確かめるか、書かないでおきます。

三つ目は、「連絡する理由」が一文で書けなければ、送らない候補にすることです。理由が書けないのは、その相手でなければならない理由がまだ見つかっていないからです。無理に書いた理由は、本文でも不自然に見えます。

「あなたにだけ」と書くより、確かめた事実を一つ指す

相手に合わせて書いたことを伝えようとして、「あなたにだけお送りしています」「ぜひ〇〇様にと思い」と書くことがあります。けれども、その根拠が本文のどこにも無ければ、相手には一斉送信と区別がつきません。

相手に合わせた一通かどうかは、言葉の強さではなく、相手の公開情報を一つ具体的に指しているかで伝わります。

書き方

本文の例

受け取る側から見えること

根拠のない個別化

「ぜひ〇〇様にご紹介したく、ご連絡しました」

誰に送っても成り立つ文。なぜ自分なのかが分からない

事実を一つ指す個別化

「〇月に公開された記事で、初めての方からコースの選び方をよく聞かれると書かれていたのを読みました」

自分の発信を読んだうえでの連絡だと分かる

事実から断定しすぎる

「コースの説明が分かりにくく、お困りだと思います」

自分の事業を外から採点された感じがする

三つ目の行のように、事実を指したあとで相手の状態を決めつけると、かえって距離が開きます。相手の仕組みや文章を採点せず、相手自身が書いていたことと、そこから自分が考えたことを分けて伝えます。

作例: 公開記事を読んだ相手へ最初の一通を書く

説明のための架空の作例を一つ置きます。実在の方や事業の例ではなく、送った結果を確かめたものでもありません。

個人で、サービス案内の文章を整える手伝いをしているAさんがいます。連絡したい相手は、個人で講座を開いているBさん。Bさんは自分のブログで、「初めての方から、どのコースから受ければいいか聞かれることが多い」と書いていました。

欄

Aさんが書いたこと

確認できた相手の事実

Bさんのブログ記事に「どのコースから受ければいいか聞かれることが多い」とある。講座の案内ページには三つのコースが並んでいる

連絡する理由

Bさん自身が「聞かれることが多い」と書いていた場面が、自分の手伝える内容と重なっている

困りごとの仮説

(仮説) 同じ質問への返答を、その都度個別に書いているかもしれない

提案できる一つの話

コースの違いを、受ける人の状況別に一枚で整理する進め方

返信しやすい次の一歩

興味があれば、進め方を一枚にまとめた資料を送る。返信の一言だけでよい

送る前の確認・送らない条件

案内ページや問い合わせ欄に営業の連絡を断る表示が無いか確かめる。事業用の連絡先が公開されていなければ送らない

このシートから書いた一通は、次のようになります。

件名: ブログの「コースの選び方」の記事を読んでご連絡しました

>

Bさま

>

はじめまして。個人でサービス案内の文章を整えるお手伝いをしている、Aと申します。

>

先日公開されていた記事で、初めての方から「どのコースから受ければいいか」とよく聞かれる、と書かれているのを読みました。

>

もしかすると、その質問に毎回個別にお答えになっているかもしれないと思い、ご連絡しました。私は、コースの違いを受ける方の状況別に一枚に整理するお手伝いをしています。

>

もしご関心があれば、進め方を一枚にまとめたものをお送りします。このメールにご返信いただくだけで大丈夫です。

>

今後のご連絡が不要でしたら、その旨を一言いただければ、以後はお送りしません。

>

(送信者名・連絡先・連絡を断る方法)

長い自己紹介や、できることの一覧は入れていません。頼んでいることは「資料が要るかどうか、一言返す」の一つだけです。Bさんの困りごとは「かもしれない」と書き、決めつけていません。

本文は四つの段に分ける

作例の本文は、次の四つの段でできています。

相手について確かめた事実から始め、理由・提案・次の一歩へ一つずつ進める。どの段も一つに絞る。
相手について確かめた事実から始め、理由・提案・次の一歩へ一つずつ進める。どの段も一つに絞る。
  • 確認できたこと — 相手の公開情報を一つ、どこで読んだか分かる形で書く

  • 連絡する理由 — その事実と、自分ができることがどう重なるかを一文で

  • 提案を一つ — 複数のサービスを並べない。仮説に対して役立ちそうな話を一つだけ

  • 次の一歩を一つ — 返信、資料の受け取りなど、頼むことは一つ。リンクを何本も並べない

件名は、何の連絡か一目で分かる短い一行にします。得を強調する言葉や判断を急がせる言葉は、連絡の理由を伝えません。締めには、連絡が不要なときにどうすればよいかを添えます。

自分のサービスをどう説明するか自体に迷っているなら、営業メールより先にサービスの説明を整えておくと、提案の一文が書きやすくなります。特徴と、相手にとっての変化を書き分ける方法はサービスの説明が伝わらないときに|特徴とベネフィットを書き分ける整理シートで扱っています。サービスの説明は「何を提供しているか」を伝える文で、営業メールは「なぜこの相手に連絡したか」を伝える文です。

送る前のチェック

下書きができたら、送信ボタンを押す前に次を確かめます。一つでも当てはまらなければ、直すか、送らないと決めます。

  • 相手の事業と、指している公開情報が特定できるか — どの記事・どの案内を読んだのか、本文から分かるか

  • 連絡する理由が自然か — 事実と提案のつながりに、無理な飛躍がないか

  • 確かめていない成果・機能・金額を書いていないか — 「必ず」「〜が増えます」のような言い切りが紛れていないか

  • 断りを尊重できるか — 不要と言われたら、理由を聞き返さずに、その時点で連絡をやめられるか

  • 返信がない時の扱いを決めてあるか — 断られたのではなく返事がないだけの場合も、催促を重ねない。もう一度送るとしても、日を置いて一度だけ、新しい材料を一つ添える程度にとどめる

  • 送る前に必要な確認を別に済ませたか — 宛先が事業用として公開されている連絡先か、営業の連絡を断る表示が無いか、送信者名・連絡先・連絡を断る方法を本文に書いたか

最後の項目は、相手と自分の両方を守るための確認です。営業メールに関するルールの確認や、送ってよいかの判断までは、この記事では扱いません。必要な表示や手続きは、送る前に自分で確かめてください。

下書きにAIを使う場合は、相手の名前や連絡先、相手から届いたやりとりをそのまま渡さないようにします。渡すのはシートの欄の考え方と、自分で書いた文面だけで十分です。

営業メールは、集客から販売へつなぐ流れの一部です。新しい相手への連絡をいつ、どれくらい続けるかという全体の考え方は、集客を止めると売上も止まる|まず三か月分を二つに仕分けるに譲ります。

まとめ

最初の一通は、例文を選ぶところからではなく、相手について確かめたことから組み立てます。

  1. 送りたい相手を一人決め、六つの欄の下書きシートを埋める

  2. 確認できた事実と、自分の推測を欄ごと分ける。推測は本文で断定しない

  3. 連絡する理由が一文で書けなければ、送らない候補にする

  4. 本文は「確認できたこと → 連絡する理由 → 提案を一つ → 次の一歩を一つ」で組む

  5. 送る前のチェックを通し、断られたら連絡をやめる

まずは、連絡したいと思っている相手を一人選び、「確認できた相手の事実」の欄だけ埋めてみてください。そこが書けるかどうかで、その相手に今送るかどうかが見えてきます。

saas biz は、まず自分の事業の発信・申込・案内・教材づくりに使えます。WRITS は、伝える順番を整理して原稿として残すアプリです。自分の案内文づくりに使えるか、saas bizのサービス紹介で確かめることができます。

この記事の下敷き

この記事は、自社で整理している初回連絡と商談の考え方の資料、現在のサービスページから再構成したものです。

  • 初回連絡の考え方の資料 — 連絡する理由を相手の実務の場面から書くこと、内部の言葉を使わないこと、頼むことを一通に一つにすること、送る前に宛先と表示を確かめること、断られたら連絡をやめること

  • 商談の考え方の資料 — 相手の目的と繰り返す困りごとを、決めつけずに確かめる順序。事実が確かめられていない条件は仮説として扱うこと

  • サービスページ — 自分の事業の発信・申込・案内・教材づくりに使えること、WRITS の用途の説明

六つの欄の下書きシート、個別化の比較表、作例、図は、上の考え方を本記事で組み直したものです。資料にそのまま載っている表や文面ではありません。作例は説明のための架空の例で、実在の方の事例や送信の結果ではありません。記事の著者名と更新日は記事ページの冒頭に表示されます。

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