労働集約から抜ける
集客を止めると売上も止まる|まず三か月分を二つに仕分ける
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しろくま先生
集客をやめる話ではありません。売上を仕分けて、手を止めた月に何が残るのかを先に見ます。
集客に疲れた、と検索する人は、たぶん集客をやめたいわけではありません。
やめたら売上が止まることが分かっているから、やめられない。それが分かっているのに、続けることを考えると気が重い。この二つが同時にある状態が、いちばんしんどいところだと思います。
この記事では、抜け方の前に、まず自分の売上がどこから来ているのかを仕分けるところだけをやります。手を止めた月に何が残るのかを、感覚ではなく手元の数字で見ます。
疲れているのは、量ではなく「毎月ゼロから」だから
同じ量の仕事をしていても、疲れ方は違います。
積み上がっていく仕事は、量が多くても意外と続きます。先月やったことが今月の土台になっているからです。積み上がらない仕事は、量が少なくてもきつい。今月の努力が今月で終わって、来月また同じ場所から始まるからです。
集客の疲れは、たいてい後者です。今月の三十件の発信は今月の分で、来月にはまた三十件が要る。しかも、それをやりながら提供もしています。ひとりでやっていると、集客と提供が同じカレンダーの上で時間を取り合うので、忙しい月ほど集客が薄くなり、少し先の月に谷が来ます。この波については売れるほど忙しい|次の集客ができなくなる構造と、その抜け方に分けて書きました。
ここで「集客の効率を上げよう」に進むと、また同じ場所に戻ります。効率が上がっても、毎月ゼロから始まる形は変わらないからです。だから先に、形のほうを見ます。
直近三か月の売上を、二つに分ける
紙でも表計算でも構いません。直近三か月の入金を一行ずつ並べて、次の二つに仕分けます。
A:今月、自分が動いたから発生した売上
B:先月までに置いたものから、今月も発生した売上
判定はひとつだけです。その月に自分が手を動かさなかったとしたら、その売上は発生したか。 発生しないならA、発生するならBです。
やってみると、たいていの人は最初に迷います。継続契約や顧問料をどちらに入れるかで止まるからです。ここは次の節で扱います。
まずはA・Bと、金額と、顧客名だけを埋めてください。集計は三か月ぶんで足ります。半年や一年を集めようとすると、その作業自体が今月の手を止めるので、三か月で十分です。
入金月 | 顧客 | 金額 | A/B | 自分が動かなくても発生したか |
|---|---|---|---|---|
今月 | (例)個別コンサル | A | 面談があったので発生しない | |
今月 | (例)月額サポート | ? | 打ち合わせをしたならA | |
先月 |
判定に迷ったら、A に入れておいてください。ここで甘く見積もると、あとの判断がまるごとずれます。厳しめに付けたほうが、次の一手が正確になります。
Bに見えて、実はAのもの
仕分けで引っかかるのは、たいてい次の三つです。
月額の顧問料。 毎月請求書が出ているのでBに見えます。ただ、その月に打ち合わせをして、資料を作って、質問に答えているなら、それはAです。契約の形が月額でも、価値を発生させているのが毎回自分なら、自分が止まればその月から止まります。
運用代行。 同じです。投稿を作る、広告を回す、レポートを書く。手が入っている以上、Aに入ります。
講座やコミュニティの月会費。 これは分かれます。教材が置いてあって受講生が自分で進めているならBに寄りますが、毎月ライブ講義をして、質問に個別で答えているなら、その部分はAです。一つの契約の中にAとBが混ざっている場合は、割り切って多いほうに入れて構いません。
念のため書いておくと、これは月額契約が良くない、という話ではありません。 顧問も継続コンサルも運用代行も、月額で成立していますし、実際に何年も続けている人がいます。見たいのは契約形態ではなく、自分が動かない月に価値が発生するかどうかです。
仕分けが終わると、多くの人はBがほとんど残りません。私も最初にやったときはゼロでした。これは経営が下手だったからではなく、ほとんどの個人の商売がそういう形で組み上がっているからです。
そしてBがゼロだと、毎月「今月もちゃんとやりました」を証明し直すことになります。相談が来ない月にそわそわして、こちらから「何かお困りごとないですか」と連絡してしまうのは、この構造から出てくる行動です。
なお、Bが残らない理由には、契約が良い仕事をするほど早く終わるという別の力も働いています。そちらは良い仕事をするほど契約が終わる。成果提供型ビジネスの構造に書きました。
仕分けたあとに見るのは、一つだけ
AとBが並んだら、比率を見たくなると思います。ただ、何パーセントなら健全といった目安を、私は持っていません。業種でも段階でも違いますし、根拠のない数字を置くと判断を誤らせます。
代わりに、一つだけ見てください。
来月、自分が二週間まったく動けなかったとして、入ってくる金額はいくらか。
これがB欄の合計です。この数字が、今のあなたの商売が自分から離れている度合いです。ゼロなら、事業がまだ完全に自分に張り付いている、というだけの事実で、良し悪しの話ではありません。
この数字を見ると、来月の話が少し変わります。「あと何件取るか」ではなく、「この数字を一円でも増やす方法はあるか」になる。同じ売上の話でも、後者だけが積み上がります。
積み上がる側を、一本だけ作る
Bを増やすと言われて、多くの人が思いつくのは、教材を作る、講座を作る、コミュニティを作る、あたりだと思います。どれも間違いではありませんが、作るのに時間がかかりますし、作ったあとに運営という新しいAが増えることがあります。人の熱量で回すものは、こちらが止まると止まります。
私が先にやるといいと思っているのは、もっと小さいところです。
今あなたが顧客に毎回渡しているものを、顧客がいつでも自分で使える形にして置く。 毎回口頭でしている説明、毎回同じ手順で作っている資料、頭の中にある判断の基準。新しく発明する必要はありません。すでに何度も渡しているものが素材です。
そのうえで、渡す相手はひとりで足ります。今いる顧客をひとり思い浮かべて、その人が次に困ることを書き出し、そこに渡せるものを一つ決める。これだけです。
ここで欲張らないほうがいいところがあります。最初に全部渡さない。 手持ちを全部まとめて渡すと、次に渡すものがなくなりますし、それ以上に、多すぎるものは使われません。今その人が使うものを一つだけ。順番があること自体が、相手にとっての価値になります。
置いたあとの見え方も、少し変わります。今までは「今月ちゃんとやりました」を毎月証明し直す必要がありましたが、環境を渡してあると、渡した時点でこちらの責任がいったん完了します。医者が薬を出すところまでを引き受けるのと同じで、使うかどうかは相手の自由です。それでも自分はやり切っている。この感覚は、集客の疲れとは別のところを軽くします。
一つでも置けると、Bの欄に金額が書ける月が来ます。金額の大きさより、欄が埋まったという事実のほうが効きます。ゼロと一は、その先の考え方を変えるからです。
集客をやめる話ではありません
最後に、誤解しやすいところを書いておきます。
Bを作るのは、集客をやめるためではありません。集客は続きます。変わるのは、集客が「今月の穴を埋めるための作業」から「積み上がる側に人を迎える作業」になることです。焦って埋める集客と、余裕を持って迎える集客は、同じ発信でも内容が変わります。
そして、Bがなぜここまで残りにくいのか。その理由は、集客の方法ではなく商売の設計そのものにあります。仕分けの結果を持ったまま、こちらを読んでみてください。
次に読む → コンサルの売上が安定しない理由|毎月ゼロから作らない商売へ
この先の話は、月に一度の説明会でも順番に扱っています。案内は上の記事の最後に置いています。
