仕事の仕組み化
サービスの説明が伝わらないときに|特徴とベネフィットを書き分ける整理シート
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しろくま先生

特徴は何を提供するか、ベネフィットは相手のどんな場面にどう関わるか。六つの欄の書き分けシートと架空の作例で、短い紹介と詳しい説明に使い回せる説明の土台をつくる手順をまとめます。
自分のサービスを説明するたびに、言い方が少しずつ変わる。紹介文には内容や回数を並べたのに、相談の場では「それで、自分の場合は何が変わるんですか」と聞かれ、結局その場で言葉を足している――。
先に答えを置きます。特徴は「何を提供するか」、ベネフィットは「相手のどんな困りごとや望む状態に関わるか」です。 説明が伝わらないときは、まずこの二つが混ざっていないか、片方しか書かれていないかを確かめます。そしてもう一つ、相手が望む変化と、あなたが実際に確かめられた結果は同じではありません。 読み手を大きな約束で動かすより、読み手が「自分に合うか」を判断できるだけの説明を残すほうが、次の相談でも使える土台になります。
この記事では、説明を六つの欄に書き分ける整理シートと、架空の作例、同じシートから短い紹介と詳しい説明を作る手順を置きます。紹介文の完成例を量産する記事ではありません。また、このシートを使えば必ず伝わる、申し込みが増える、と約束する記事でもありません。
特徴とベネフィットは、答えている問いが違う
特徴は「どうやって」に答えます。何を、どんな形で、どれくらい提供するか。納品物、面談の回数、使う道具、対応する範囲がここに入ります。
ベネフィットは「何のために」「どうなる」に答えます。相手がどんな場面で困っていて、その場面がどう変わってほしいと思っているか。人が説明を読んでいちばん知りたいのは、提供されるもの自体より、それを受けたあと自分の状況がどう変わるかです。
自分のサービスを説明しようとすると、特徴から書き始めることがあります。提供する側にとっていちばん確かなのは、自分が何をするかだからです。それ自体は間違いではありません。ただ、特徴だけが並んでいると、読み手は「それが自分の困りごとにどう関わるのか」を自分で翻訳しなければならず、その翻訳をあなたが相談の場で毎回補うことになります。
反対に、ベネフィットだけを大きく書くのも危うい書き方です。「迷いがなくなる」「自信が持てる」と書くのは簡単ですが、それは相手が望んでいる変化であって、あなたが毎回確かめられる結果ではありません。望まれていることを、確かめた成果のように書くと、提供のときに期待とのずれを個別に埋める仕事が増えます。
だから、説明は二つに分けるだけでは足りません。「望む変化」と「実際に支援すること」と「確かめられること」を、別々の欄に書きます。
書き分けシート――六つの欄
自分のサービスを一つ選び、次の六つの欄を空欄から埋めてください。
欄 | 書くこと |
|---|---|
提供するもの・特徴 | 何を、どんな形で提供するか。納品物・やり取りの形・対応する範囲 |
相手が困る具体的な場面 | 相手がどんな場面で手が止まっているか。実際に聞いた言葉に近い形で |
望む変化 | その場面が、相手にとってどう変わってほしいか。相手の言葉で書く |
その変化のために実際に支援すること | 望む変化に向けて、あなたが具体的に何をするか。特徴とどうつながるか |
確認できる根拠と限界 | 読み手が判断に使える材料と、その材料で言えないこと |
約束しないこと | 相手が期待しそうだが、あなたが引き受けない・言い切れないこと |
このシートは、商品の価値を「ものそのものではなく、その後の変化」から考える講座の考え方を、説明文を書くための欄に組み直したものです。効果を確かめた診断表ではありません。
書くときの注意が二つあります。一つは、「困る場面」を想像だけで決めないことです。全員がこう悩んでいるはずだ、と書き始めると、実際には誰も言っていない悩みが説明の中心になります。過去の相談や質問で、実際に聞いた言葉から書いてください。もう一つは、困りごとを大げさに書かないことです。読み手の不安を強めて動かす説明は、読み手が自分に合うかを落ち着いて判断する助けになりません。
「確認できる根拠と限界」と「約束しないこと」の二つは、空のままにしないでください。ここが空のまま説明を出すと、読み手は大きいほうの期待で読みます。
作例: 編集サポートの説明を書き分ける
説明のための架空の作例を一つ置きます。実在の方のサービスや、説明を変えたあとの反応を測った結果ではありません。
個人で文章の編集サポートを提供している人が、これまで紹介文に「原稿一本につき、修正コメントをお返しします」とだけ書いていた、という場面です。相談に来た人からは、毎回「コメントをもらっても、結局どう直せばいいか分からなくなりそうで」と言われています。
欄 | 作例の書き方 |
|---|---|
提供するもの・特徴 | 原稿一本に対する、修正コメントの返却 |
相手が困る具体的な場面 | 書き上げた原稿を読み返しても、どこを直せばよいか自分で決められず、手が止まっている |
望む変化 | 直す候補が見えて、どれを直すかを自分で選べるようになりたい |
その変化のために実際に支援すること | 直す候補ごとに「なぜそこか」という判断基準をコメントに添える。候補と基準を見比べて、どれを採るかは書き手が決める |
確認できる根拠と限界 | 自分で作った見本の原稿にコメントを付けた例を見せられる。ただし、コメントを反映した原稿が読まれる・採用される・評価されることは言えない |
約束しないこと | 原稿の書き直しの代行、媒体への採用、文章が必ず伝わるようになること |
書き分ける前の紹介文は、一つ目の欄だけでできていました。書き分けたあとの紹介文は、たとえば次のようになります。
原稿の「直す候補」を、なぜそこを直すかという理由と一緒にコメントでお返しします。読み返しても、どこを直せばいいか決められないときに、候補と理由を見比べて、直す箇所を自分で選べるようにするためのサポートです。書き直しの代行はしていません。
特徴(コメントを返す)は消えていません。その前後に、困る場面と望む変化、そして約束しないことが加わっただけです。読み手は、自分がその場面にいるかどうかで、合うかどうかを判断できます。
同じシートから、短い紹介と詳しい説明を作る
シートが一枚埋まったら、そこから長さの違う説明を作ります。短い紹介に、六つの欄をすべて詰め込もうとしないのがポイントです。
短い紹介(プロフィールの一文や、案内の冒頭)には、基本として次の三つを入れます。
誰の、どんな場面に向けたものか(困る場面)
何をするか(実際に支援すること)
どう変わることを目指すか(望む変化)
例外が一つあります。相談でよく受ける質問が「それはやってもらえるのか」という範囲の確認で、読み手が合うかどうかを判断するのにそこが欠かせないときは、対応しない範囲を一言だけ加えます。 作例の紹介文の最後の一文「書き直しの代行はしていません」がそれにあたります。
詳しい説明(サービス紹介のページや、相談前に送る案内)では、六つの欄を次の順に並べます。
対象と困る場面
望む変化
実際に支援すること(特徴はここで具体的に書く)
確認できる根拠と限界(見本や手順を見せる)
約束しないこと
相談の前に確かめたいこと
説明を別の場所で使い回すときは、シートに残しておくものと、説明ごとに変えるものを分けておきます。 シートからは「確認できる根拠と限界」と「約束しないこと」の二つを消しません。短い紹介にこの二つの全文を入れる必要はありませんが、詳しい説明には必ず載せ、短い紹介を読んだ人がそこへたどれるようにしておきます。どの説明を作るときもこの二つを手元から外さないことで、説明が約束に近づくのを防げます。説明ごとに変えてよいのは、困る場面の例と、言葉の言い回しです。読む人が違えば、思い当たる場面も違うからです。
書いた説明を、実際に受けた質問と照らし合わせる
説明を書いたら、それで終わりにせず、実際に受けた質問と照らし合わせます。過去の相談やメッセージで聞かれたことを三つほど書き出し、一つずつ次を確かめてください。
どの文で答えているか — その質問への答えが、説明のどの欄に書かれているか
書かれていないなら、どの欄が足りないか — 対象が曖昧なのか、支援の中身が見えないのか、限界が書かれていないのか
判断に足りない材料は何か — 見本、手順、対応しない範囲など、読み手が自分で判断するために要るもの
たとえば作例の編集サポートで、「書き直してもらえるんですか」という質問がよく来るなら、「約束しないこと」が、読み手の目に届く位置に書かれていない、と分かります。詳しい説明の前のほうへ移すか、短い紹介に一言足すかを考えます。質問は、説明のどの欄が足りないかを教えてくれる材料です。
この照らし合わせや下書きにAIを使うこともできます。そのときは、シートに書いていないことをAIに埋めさせないでください。経験していないお客さまの声、確かめていない使用前と使用後の変化、根拠のない数字は、それらしく書き足されやすいものです。AIに渡すのはシートの六つの欄と使わない言い方の一覧だけにして、出す前に、書き足された文がシートのどの欄に根拠を持つかを人が確かめます。
どの仕事から整えるかに迷う場合は、個人事業主の仕事を仕組み化するには|最初の一つを決める整理シートで扱っています。また、説明のうち、どこまでを共通の文にしてよく、どこを相手ごとに判断するかの切り分けは、顧客ごとの個別対応を減らす方法|共通化してよい部分・残す部分に譲ります。
まとめ
サービスの説明が伝わらないときは、言葉を磨く前に、何を提供するか(特徴)と、相手のどんな場面にどう関わるか(ベネフィット)を分けて書くことから始めます。
六つの欄の書き分けシートを、自分のサービス一つについて埋める
「望む変化」と「確認できる根拠と限界」を別の欄に分け、望まれていることを確かめた結果のように書かない
同じシートから、三つの欄を基本にした短い紹介と、六つの欄を並べた詳しい説明を作る
使い回すときは、根拠と限界、約束しないことを残し、場面の例と言い回しを変える
実際に受けた質問と照らし合わせ、足りない欄をシートの側で直す
まずは、最近いちばん説明に時間がかかったサービスを一つ選んで、六つの欄を埋めてみてください。
saas biz は、自分の事業の発信・申込・案内づくりにも使えます。専門知識を記事や原稿に整理する WRITS や、サービスの説明をページにまとめて申込を受ける FUNNELS があります。説明の土台を自分の仕事で使う方法を、saas biz のサービス紹介で確かめることができます。
この記事の下敷き
この記事は、自社の講座で使っている商品の価値と顧客利益の資料、発信の資料、現在のサービスページから再構成したものです。
価値と顧客利益の講座資料 — 商品の価値を、もの自体ではなくその後の変化や、今の状態と望む状態の差から考えるという考え方
発信の講座資料 — 「どうやって」「何のために」「どうなる」を分けて考え、相手の望む状態と悩みを確かめるという考え方
サービスページ — 自分の事業で使えること、WRITS と FUNNELS の用途の説明
六つの欄の書き分けシート、作例、短い紹介と詳しい説明の組み立て、図は、上の考え方を本記事で組み直したものです。資料にそのまま載っている表ではありません。作例は説明のための架空の例で、実在の方の事例や効果を確かめた結果ではありません。記事の著者名と更新日は記事ページの冒頭に表示されます。



