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仕組みづくり

申込フォームの項目は何を聞く?個人サービスの入力負担を見直すチェックシート

公開

約9分で読めます

しろくま先生

申込フォームの質問を、数の正解ではなく「何の判断に、いつ使うか」で一問ずつ点検する。項目点検シート、架空の初回相談の作例、送信の前後に伝えることの点検表を置く。

申込を受けたあと、毎回メッセージで「ご希望の日時は」「今どんな状況ですか」と聞き直している。それならフォームに全部入れておこうと質問を足したら、今度は申込そのものが途中で止まっているように見える――。

先に答えを置きます。申込フォームの項目は、数の正解を探す前に、その情報を「何の判断に」「いつ」使うかを一つずつ決めます。 判断に使わない質問は聞く理由がなく、使う質問でも、申込の時点で要るものと、申込のあとで確かめればよいものがあります。短いフォームが常に良いわけでも、詳しく聞くフォームが常に丁寧なわけでもありません。

この記事では、今のフォームの質問を一行ずつ入れて点検するシートと、架空の作例、申込の前後に何を伝えるかの点検表を置きます。項目を減らせば申込が増える、と約束する記事ではありません。点検の結果、質問を減らさないと決めることもあります。

申込の負担は、時間と手間と気持ちの三つに分かれる

申込をする人が払っているのは、お金だけではありません。講座では、相手が商品を手にするまでに払うものを、お金のほかに時間・手間・気持ちの負担に分けて考えます。価値があっても、この負担に隠れて見えなくなることがある、という見方です。

申込フォームにあてはめると、次のようになります。

  • 時間 — 入力にかかる時間。調べないと答えられない質問があると、その分だけ延びます

  • 手間 — 文章で書かせる欄、選択肢に自分の状況が見当たらない質問、同じことを二度書かせる欄

  • 気持ち — 「なぜこれを聞かれるのか」が分からない質問、送ったあと何が起きるか分からない不安、まだ決めていないことを決めさせられる感覚

三つ目の気持ちの負担は、質問の数を数えても見えません。一問しかなくても、答える理由が分からなければ手が止まります。逆に、質問が多くても、一つずつに理由が書かれていて、次に何が起きるかが分かっていれば、答えやすいこともあります。だから点検は「何問あるか」ではなく、「一問ずつ、答える理由と答えやすさがあるか」で行います。

項目点検シート――一問ずつ六つの欄を埋める

今のフォームの質問を、上から順に一行ずつ書き出し、次の六つの欄を埋めてください。

欄

書くこと

聞くこと

フォームにある質問をそのまま

使う目的

その答えを、提供者のどんな判断や準備に使うか

今必要か、後でよいか

申込を受け付ける時点で要るか、申込のあと提供の前までに確かめればよいか

答えやすさ・迷う点

相手がすぐ答えられるか。調べる・考え込む・選択肢に当てはまらない、などの迷いが出そうな点

別の確認方法

フォーム以外で確かめられるか。申込後の案内、初回の面談の冒頭、など

申込者に伝える理由

「〜のためにお聞きしています」と、質問の横に添える一文

埋めるときの注意が三つあります。

一つは、「使う目的」が書けない質問を、すぐ消さないことです。目的が書けないのは、聞いた答えを実際には見ていないからかもしれませんし、使っているのに言葉にしていなかっただけかもしれません。過去に受けた申込の答えを見返して、その欄を何かの判断に使ったかを確かめてから決めます。

二つ目は、「答えやすさ・迷う点」を自分の想像だけで決めないことです。相手が入力をためらった理由は、実際の問い合わせや、申込後に聞き直した内容に残っていることがあります。記録が無いなら「仮説」と書いておき、次の申込で確かめます。また、申込が止まる理由はフォームの項目だけとは限りません。日程が合わない、申し込んだあとの流れが分からない、といった理由もあります。

三つ目は、最初から聞かない方がよい情報を、標準として入れないことです。住所・生年月日・収入のように、そのサービスの提供に使わない個人情報は、「念のため」で聞く理由になりません。どの情報を、何のために、どう扱うかは、提供者自身が自分の運用と照らし合わせて決めることです。この記事では、取得の可否や取り扱いの判断までは扱いません。

作例: 初回相談の申込フォームを点検する

説明のための架空の作例を一つ置きます。実在の方のフォームや、点検後の申込の変化を測った結果ではありません。

個人で事業の相談を受けている人の、初回相談の申込フォームです。今は「お名前・メールアドレス・電話番号・事業の内容・相談したいこと(自由記述)・希望日時(第三希望まで)・どこで知ったか」の七問があり、申込後は毎回メッセージで、相談の前提になる状況を聞き直しています。

聞くこと

使う目的

今か後か

答えやすさ・迷う点

別の確認方法

申込者に伝える理由

お名前・メールアドレス

連絡と本人の取り違え防止

今

すぐ答えられる

なし

日程のご連絡に使います

電話番号

使っていない(連絡はメールで足りている)

—

番号を出すことへのためらい

必要になった時に案内で聞く

(聞かない候補)

相談したいこと

相談の時間内に扱えるかの判断

今

自由記述だと何をどこまで書くか迷う

選択肢+一言の補足に変える

当日の準備に使います

事業の内容

当日の準備(相談の前提を知る)

後

どこまで書けばよいか迷う。申込の時点では整理できていないことがある

申込後の案内で、毎回聞き直していた状況と一緒に、事前に考えておく問いとして送る

(申込後の案内で伝える)

希望日時

日程の調整

今

第三希望まで書くのが手間

候補日から選ぶ形にする

日程を決めるために伺います

どこで知ったか

使っていない

—

迷う人がいる

聞かなくてよい

(聞かない候補)

この点検で決めたのは、「電話番号」と「どこで知ったか」を聞かない候補にすること、「事業の内容」を申込のあとへ回し、毎回聞き直していた状況と一緒に案内で聞くこと、そして残した質問に理由を添えることです。「相談したいこと」は減らしていません。相談の時間内に扱えるかを判断するのに、申込の時点で要るからです。点検は項目を削る作業ではなく、一問ずつ、どこに置くかを決め直す作業です。

なお、作例では「どこで知ったか」を使っていないので外しましたが、それを集客の判断に実際に使っているなら、残す理由になります。同じ質問でも、提供者によって答えは変わります。

送信の前と後に、何を伝えるかも点検する

質問そのものが整っていても、申し込む人には別の迷いが残ることがあります。「これは何の申込なのか」「送ったら次に何が起きるのか」です。質問の点検と一緒に、フォームの前後に置く説明も確かめます。

時点

申込者が知りたいこと

点検すること

送信の前

何を申し込むのか。自分に合うか

申込の対象(初回相談なのか、本申込なのか)が、フォームの上で一文で分かるか

入力中

なぜこれを聞かれるのか

迷いそうな質問の横に、使う目的が一文で添えてあるか

送信の後

次に何が起きるか。いつ、誰から連絡が来るか

送信後の画面と最初の連絡で、次の行動が分かるか

送信後の説明には、実際に運用できる範囲のことだけを書きます。返信の目安や対応の範囲を書く場合は、今の自分が守れているかを先に確かめてください。点検のために、新しい約束を足す必要はありません。「申込後にメールで日程の候補をお送りします」のように、今していることを、申し込む人から見える場所へ書き出すだけでも、送ったあとの不安は小さくなります。

申込後に聞き直していたことを、送信後の案内へ移した場合は、その案内で「なぜ聞くのか」と「いつまでに答えればよいか」も一緒に伝えます。フォームから外した質問が、案内の側で同じ負担になっては意味がないからです。

質問ごとに「使っているか」「いつ要るか」で置き場所を決める。外すか残すかの二択ではなく、申込後の案内へ移す道もある。
質問ごとに「使っているか」「いつ要るか」で置き場所を決める。外すか残すかの二択ではなく、申込後の案内へ移す道もある。

点検したあとに確かめること

シートを埋めて置き場所を決めたら、実際のフォームを直す前に、次の三つを確かめます。

  • 提供に要る確認が抜けていないか — 申込のあとへ回した質問が、提供の前までに必ず聞ける流れになっているか

  • 外した質問を、別の場所で同じように聞いていないか — 案内や面談の冒頭で、結局同じ負担をかけていないか

  • 申込後に聞き直すことが減ったか — 次の何件かの申込で、聞き直しが起きたかを記録しておく

三つ目は、点検の結果を確かめる材料です。申込の数そのものは、時期や紹介の仕方でも動くので、フォームの変更だけの影響とは言えません。聞き直しの回数や、問い合わせで聞かれたことのほうが、フォームのどこが足りないかを教えてくれます。

フォームの点検にAIを使うこともできます。そのときは、実際に届いた申込の内容をそのまま渡さないでください。相手の名前や相談内容は、点検の材料として外へ出すものではありません。渡すのはシートの六つの欄と、自分で書いた質問の文面だけにします。

申込以外にも、仕組みにしたい仕事がいくつもあって、どれから手をつけるか迷う場合は、個人事業主の仕事を仕組み化するには|最初の一つを決める整理シートで扱っています。また、申込後の案内のうち、どこまでを共通の文にしてよく、どこを相手ごとに判断するかは、顧客ごとの個別対応を減らす方法|共通化してよい部分・残す部分に譲ります。

まとめ

申込フォームを見直すときは、項目の数より先に、一問ずつ「何の判断に、いつ使うか」を決めます。

  1. 今のフォームの質問を一行ずつ書き出し、六つの欄の点検シートを埋める

  2. 使う目的が書けない質問は、過去の申込を見返して、本当に使っていないかを確かめてから扱いを決める

  3. 申込の時点で要らない質問は、申込後の案内へ移し、理由と期限を添えて聞く

  4. 残した質問には、使う目的を一文添える

  5. 送信の前・入力中・送信の後に、申し込む人が知りたいことが書かれているかを確かめる

  6. 直したあとは、申込後の聞き直しが減ったかを記録する

まずは、今のフォームでいちばん答えに時間がかかりそうな質問を一つ選び、六つの欄を埋めてみてください。

saas biz は、自分の事業の発信・申込・案内づくりにも使えます。サービスの価値をページにまとめ、説明会や相談の申込を受ける FUNNELS があります。説明と申込の入口にどう使えるか、saas bizのサービス紹介で確かめることができます。

この記事の下敷き

この記事は、自社の講座で使っている顧客の負担とファネルの資料、現在のサービスページから再構成したものです。

  • 顧客の負担とファネルの講座資料 — 相手が払うものを、お金のほかに時間・手間・気持ちの負担に分けて考えること、段階ごとに目的と負担を定めておくこと、手続きの煩雑さを取り除く対象として見ること

  • サービスページ — 自分の事業の申込・案内づくりに使えること、FUNNELS の用途の説明

六つの欄の項目点検シート、作例、申込の前後の点検表、図は、上の考え方を本記事で組み直したものです。資料にそのまま載っている表ではありません。作例は説明のための架空の例で、実在の方の事例や効果を確かめた結果ではありません。記事の著者名と更新日は記事ページの冒頭に表示されます。

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