仕組みづくり
申込フォームの項目は何を聞く?個人サービスの入力負担を見直すチェックシート
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しろくま先生

申込フォームの質問を、数の正解ではなく「何の判断に、いつ使うか」で一問ずつ点検する。項目点検シート、架空の初回相談の作例、送信の前後に伝えることの点検表を置く。
申込を受けたあと、毎回メッセージで「ご希望の日時は」「今どんな状況ですか」と聞き直している。それならフォームに全部入れておこうと質問を足したら、今度は申込そのものが途中で止まっているように見える――。
先に答えを置きます。申込フォームの項目は、数の正解を探す前に、その情報を「何の判断に」「いつ」使うかを一つずつ決めます。 判断に使わない質問は聞く理由がなく、使う質問でも、申込の時点で要るものと、申込のあとで確かめればよいものがあります。短いフォームが常に良いわけでも、詳しく聞くフォームが常に丁寧なわけでもありません。
この記事では、今のフォームの質問を一行ずつ入れて点検するシートと、架空の作例、申込の前後に何を伝えるかの点検表を置きます。項目を減らせば申込が増える、と約束する記事ではありません。点検の結果、質問を減らさないと決めることもあります。
申込の負担は、時間と手間と気持ちの三つに分かれる
申込をする人が払っているのは、お金だけではありません。講座では、相手が商品を手にするまでに払うものを、お金のほかに時間・手間・気持ちの負担に分けて考えます。価値があっても、この負担に隠れて見えなくなることがある、という見方です。
申込フォームにあてはめると、次のようになります。
時間 — 入力にかかる時間。調べないと答えられない質問があると、その分だけ延びます
手間 — 文章で書かせる欄、選択肢に自分の状況が見当たらない質問、同じことを二度書かせる欄
気持ち — 「なぜこれを聞かれるのか」が分からない質問、送ったあと何が起きるか分からない不安、まだ決めていないことを決めさせられる感覚
三つ目の気持ちの負担は、質問の数を数えても見えません。一問しかなくても、答える理由が分からなければ手が止まります。逆に、質問が多くても、一つずつに理由が書かれていて、次に何が起きるかが分かっていれば、答えやすいこともあります。だから点検は「何問あるか」ではなく、「一問ずつ、答える理由と答えやすさがあるか」で行います。
項目点検シート――一問ずつ六つの欄を埋める
今のフォームの質問を、上から順に一行ずつ書き出し、次の六つの欄を埋めてください。
欄 | 書くこと |
|---|---|
聞くこと | フォームにある質問をそのまま |
使う目的 | その答えを、提供者のどんな判断や準備に使うか |
今必要か、後でよいか | 申込を受け付ける時点で要るか、申込のあと提供の前までに確かめればよいか |
答えやすさ・迷う点 | 相手がすぐ答えられるか。調べる・考え込む・選択肢に当てはまらない、などの迷いが出そうな点 |
別の確認方法 | フォーム以外で確かめられるか。申込後の案内、初回の面談の冒頭、など |
申込者に伝える理由 | 「〜のためにお聞きしています」と、質問の横に添える一文 |
埋めるときの注意が三つあります。
一つは、「使う目的」が書けない質問を、すぐ消さないことです。目的が書けないのは、聞いた答えを実際には見ていないからかもしれませんし、使っているのに言葉にしていなかっただけかもしれません。過去に受けた申込の答えを見返して、その欄を何かの判断に使ったかを確かめてから決めます。
二つ目は、「答えやすさ・迷う点」を自分の想像だけで決めないことです。相手が入力をためらった理由は、実際の問い合わせや、申込後に聞き直した内容に残っていることがあります。記録が無いなら「仮説」と書いておき、次の申込で確かめます。また、申込が止まる理由はフォームの項目だけとは限りません。日程が合わない、申し込んだあとの流れが分からない、といった理由もあります。
三つ目は、最初から聞かない方がよい情報を、標準として入れないことです。住所・生年月日・収入のように、そのサービスの提供に使わない個人情報は、「念のため」で聞く理由になりません。どの情報を、何のために、どう扱うかは、提供者自身が自分の運用と照らし合わせて決めることです。この記事では、取得の可否や取り扱いの判断までは扱いません。
作例: 初回相談の申込フォームを点検する
説明のための架空の作例を一つ置きます。実在の方のフォームや、点検後の申込の変化を測った結果ではありません。
個人で事業の相談を受けている人の、初回相談の申込フォームです。今は「お名前・メールアドレス・電話番号・事業の内容・相談したいこと(自由記述)・希望日時(第三希望まで)・どこで知ったか」の七問があり、申込後は毎回メッセージで、相談の前提になる状況を聞き直しています。
聞くこと | 使う目的 | 今か後か | 答えやすさ・迷う点 | 別の確認方法 | 申込者に伝える理由 |
|---|---|---|---|---|---|
お名前・メールアドレス | 連絡と本人の取り違え防止 | 今 | すぐ答えられる | なし | 日程のご連絡に使います |
電話番号 | 使っていない(連絡はメールで足りている) | — | 番号を出すことへのためらい | 必要になった時に案内で聞く | (聞かない候補) |
相談したいこと | 相談の時間内に扱えるかの判断 | 今 | 自由記述だと何をどこまで書くか迷う | 選択肢+一言の補足に変える | 当日の準備に使います |
事業の内容 | 当日の準備(相談の前提を知る) | 後 | どこまで書けばよいか迷う。申込の時点では整理できていないことがある | 申込後の案内で、毎回聞き直していた状況と一緒に、事前に考えておく問いとして送る | (申込後の案内で伝える) |
希望日時 | 日程の調整 | 今 | 第三希望まで書くのが手間 | 候補日から選ぶ形にする | 日程を決めるために伺います |
どこで知ったか | 使っていない | — | 迷う人がいる | 聞かなくてよい | (聞かない候補) |
この点検で決めたのは、「電話番号」と「どこで知ったか」を聞かない候補にすること、「事業の内容」を申込のあとへ回し、毎回聞き直していた状況と一緒に案内で聞くこと、そして残した質問に理由を添えることです。「相談したいこと」は減らしていません。相談の時間内に扱えるかを判断するのに、申込の時点で要るからです。点検は項目を削る作業ではなく、一問ずつ、どこに置くかを決め直す作業です。
なお、作例では「どこで知ったか」を使っていないので外しましたが、それを集客の判断に実際に使っているなら、残す理由になります。同じ質問でも、提供者によって答えは変わります。
送信の前と後に、何を伝えるかも点検する
質問そのものが整っていても、申し込む人には別の迷いが残ることがあります。「これは何の申込なのか」「送ったら次に何が起きるのか」です。質問の点検と一緒に、フォームの前後に置く説明も確かめます。
時点 | 申込者が知りたいこと | 点検すること |
|---|---|---|
送信の前 | 何を申し込むのか。自分に合うか | 申込の対象(初回相談なのか、本申込なのか)が、フォームの上で一文で分かるか |
入力中 | なぜこれを聞かれるのか | 迷いそうな質問の横に、使う目的が一文で添えてあるか |
送信の後 | 次に何が起きるか。いつ、誰から連絡が来るか | 送信後の画面と最初の連絡で、次の行動が分かるか |
送信後の説明には、実際に運用できる範囲のことだけを書きます。返信の目安や対応の範囲を書く場合は、今の自分が守れているかを先に確かめてください。点検のために、新しい約束を足す必要はありません。「申込後にメールで日程の候補をお送りします」のように、今していることを、申し込む人から見える場所へ書き出すだけでも、送ったあとの不安は小さくなります。
申込後に聞き直していたことを、送信後の案内へ移した場合は、その案内で「なぜ聞くのか」と「いつまでに答えればよいか」も一緒に伝えます。フォームから外した質問が、案内の側で同じ負担になっては意味がないからです。
点検したあとに確かめること
シートを埋めて置き場所を決めたら、実際のフォームを直す前に、次の三つを確かめます。
提供に要る確認が抜けていないか — 申込のあとへ回した質問が、提供の前までに必ず聞ける流れになっているか
外した質問を、別の場所で同じように聞いていないか — 案内や面談の冒頭で、結局同じ負担をかけていないか
申込後に聞き直すことが減ったか — 次の何件かの申込で、聞き直しが起きたかを記録しておく
三つ目は、点検の結果を確かめる材料です。申込の数そのものは、時期や紹介の仕方でも動くので、フォームの変更だけの影響とは言えません。聞き直しの回数や、問い合わせで聞かれたことのほうが、フォームのどこが足りないかを教えてくれます。
フォームの点検にAIを使うこともできます。そのときは、実際に届いた申込の内容をそのまま渡さないでください。相手の名前や相談内容は、点検の材料として外へ出すものではありません。渡すのはシートの六つの欄と、自分で書いた質問の文面だけにします。
申込以外にも、仕組みにしたい仕事がいくつもあって、どれから手をつけるか迷う場合は、個人事業主の仕事を仕組み化するには|最初の一つを決める整理シートで扱っています。また、申込後の案内のうち、どこまでを共通の文にしてよく、どこを相手ごとに判断するかは、顧客ごとの個別対応を減らす方法|共通化してよい部分・残す部分に譲ります。
まとめ
申込フォームを見直すときは、項目の数より先に、一問ずつ「何の判断に、いつ使うか」を決めます。
今のフォームの質問を一行ずつ書き出し、六つの欄の点検シートを埋める
使う目的が書けない質問は、過去の申込を見返して、本当に使っていないかを確かめてから扱いを決める
申込の時点で要らない質問は、申込後の案内へ移し、理由と期限を添えて聞く
残した質問には、使う目的を一文添える
送信の前・入力中・送信の後に、申し込む人が知りたいことが書かれているかを確かめる
直したあとは、申込後の聞き直しが減ったかを記録する
まずは、今のフォームでいちばん答えに時間がかかりそうな質問を一つ選び、六つの欄を埋めてみてください。
saas biz は、自分の事業の発信・申込・案内づくりにも使えます。サービスの価値をページにまとめ、説明会や相談の申込を受ける FUNNELS があります。説明と申込の入口にどう使えるか、saas bizのサービス紹介で確かめることができます。
この記事の下敷き
この記事は、自社の講座で使っている顧客の負担とファネルの資料、現在のサービスページから再構成したものです。
顧客の負担とファネルの講座資料 — 相手が払うものを、お金のほかに時間・手間・気持ちの負担に分けて考えること、段階ごとに目的と負担を定めておくこと、手続きの煩雑さを取り除く対象として見ること
サービスページ — 自分の事業の申込・案内づくりに使えること、FUNNELS の用途の説明
六つの欄の項目点検シート、作例、申込の前後の点検表、図は、上の考え方を本記事で組み直したものです。資料にそのまま載っている表ではありません。作例は説明のための架空の例で、実在の方の事例や効果を確かめた結果ではありません。記事の著者名と更新日は記事ページの冒頭に表示されます。



