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仕組み化

SNS投稿のネタ切れをどう防ぐ?個人事業主が発信の材料を残す「素材メモ」

公開

約8分で読めます

しろくま先生

投稿のたびに白紙から考える状態を見直し、自分が答えてきた問いと根拠の元資料を「素材メモ」に残して、別の問いに答える投稿案へ組み直す手順を、六つの欄のシートと架空の作例で説明します。

投稿日の朝になって、また何を書くかを考えている。相談や制作のたびに同じような質問に答えているのに、その答えは話したきりで、次の投稿を書くときには手元に何も残っていない――。

先に答えを置きます。ネタ切れを防ぐために、新しい話題を際限なく探し続ける必要はありません。自分がこれまで答えてきた問いと、その答えを確かめられる元資料を「素材メモ」として残しておき、そこから投稿を組み直します。 ただし、同じ文章を何度も流し直すこととは別の話です。

この記事では、一つの資料や質問から素材メモを作る手順と、一つの素材から別々の問いに答える投稿案を組む工程を、架空の作例と一緒に置きます。投稿の時刻や表示の仕組み、フォロワーを増やす方法は扱いません。毎日投稿できるようになる、売上が増える、といった約束をする記事でもありません。

ネタが切れるのは、答えた問いが残っていないから

発信のたびにネタ探しへ戻ってしまうのは、ネタそのものが無いからとは限りません。個人でサービスを提供していれば、相談の場、メッセージの返信、面談、制作の打ち合わせで、毎週のように質問に答えています。

  • 「どこから手をつければいいですか」

  • 「これとあれは何が違うんですか」

  • 「自分の場合でも使えますか」

こうした問いと、それに対する自分の答えや判断基準は、本来いちばん使える発信の材料です。読み手がまさに困っている場面から出てきた問いだからです。ところが多くの場合、答えは会話の中で流れてしまい、投稿を書くときには「何か新しいことを言わなければ」と白紙から考え始めることになります。

発信を「新しい話題を見つける仕事」と考えると、ネタはいつか尽きます。「相手の問いに答えた材料を残し、組み直す仕事」と考えると、材料は日々の仕事の中で増えていきます。発信は、相手がどんな場面で困り、何を望み、何を避けたいのかを知る場でもあります。投稿への反応や届いた質問が、次の素材メモの入口になります。

素材メモの形――一つの問いに一枚

素材メモは、一つの問いにつき一枚作ります。次の六つの欄を、空欄から自分で埋めてください。

欄

書くこと

元資料と位置

答えの根拠になる自分の資料と、その中のどこか。「サービス説明の三ページ目」「〇月の相談メモ」など、あとで見返せる形で

読み手が困る場面・問い

どんな場面で、どんな言葉で聞かれたか。聞かれた言い回しに近い形で書く

その人が前へ進めたいこと

問いの奥にある、相手が望んでいる状態や避けたいこと

自分の答え・判断基準

いつも答えている内容と、そう答える理由。「この条件ならこちら」という分かれ目

具体例

答えを分かりやすくする例。実在の方の話を使うなら、特定できないように直し、許可の有無を確かめる

公開前に確認すること

古くなっていないか、言い切りすぎていないか、個人情報や非公開の情報が入っていないか

このシートは、発信の考え方を記事用に組み直したものです。効果を確かめた診断表ではありません。欄をすべて埋める必要もありませんが、「元資料と位置」と「自分の答え・判断基準」が空のメモは、まだ投稿に使わないでください。根拠を確かめられない答えを発信し始めると、次に同じ話をするときに自分でも確かめられなくなるからです。

元資料は、新しく書き下ろす必要はありません。すでに手元にあるもの――サービスの説明文、講座やセミナーのスライド、よく送る案内文、過去の記事、相談の前後に書いたメモ――から一つ選び、その中で「よく聞かれる箇所」に印をつけるところから始めます。

一つの素材から、別の問いに答える三つの投稿案へ

素材メモが一枚できたら、そこから投稿案を組みます。ここで大事なのは、題名だけを変えて同じ文章を並べることではないという点です。同じ素材でも、読み手が立っている場所によって、答えるべき問いが変わります。

ここでは、一つの素材から次の三つの角度で投稿案を作ります。

角度

答える問い

素材メモのどこを使うか

困りごとの説明

「なぜうまくいかないのか」

読み手が困る場面・問い、前へ進めたいこと

選ぶ基準

「自分はどちらを選べばいいのか」

自分の答え・判断基準

使う場面

「実際にはいつ、どう使うのか」

具体例、元資料と位置

三つの投稿案は、同じ素材を土台にしていても、書き出しも結論も違うものになります。困りごとの説明は、まだ自分の状態に名前がついていない人に向けた投稿です。選ぶ基準は、選択肢が見えていて迷っている人に向けた投稿です。使う場面は、もう始めようとしている人に向けた投稿です。

投稿先ごとの文字数や、どれくらいの間隔で出すのがよいかは、この記事では決めません。投稿先の仕様は変わるので、そのときの画面で確かめてください。ここで決めるのは、どの問いに答える投稿かだけです。

一つの素材メモから、答える問いの違う三つの投稿案を作り、人が確認してから出す。届いた質問は次の素材メモの入口になる。
一つの素材メモから、答える問いの違う三つの投稿案を作り、人が確認してから出す。届いた質問は次の素材メモの入口になる。

作例: 編集サポートの「どこまで直してもらえるのか」

説明のための架空の作例を一つだけ置きます。実在の方の事例や、投稿の反応を測った結果ではありません。

文章の編集サポートを個人で提供している人が、相談のたびに「どこまで直してもらえるんですか」と聞かれている、という場面です。

欄

作例の書き方

元資料と位置

自分のサービス説明の「対応範囲」の節

読み手が困る場面・問い

依頼する前に「どこまで直してもらえるのか」「全部書き直されてしまわないか」と迷っている

その人が前へ進めたいこと

自分の言葉は残したまま、読みやすい文章にしたい。直しすぎて自分の文章でなくなるのは避けたい

自分の答え・判断基準

誤字や分かりにくい箇所は直す。主張や語り口は変えず、変えたほうがよい箇所は理由を添えて提案にとどめる

具体例

一文が長すぎる段落を、意味を変えずに二文に分けた例 (自分で作った例文)

公開前に確認すること

対応範囲の説明が今のサービス説明と一致しているか。実在の依頼者の文章を使っていないか

この一枚から、三つの投稿案を組みます。

  • 困りごとの説明 —「編集を頼むのが怖い理由は、直されすぎて自分の文章でなくなる気がするからかもしれません」という書き出しで、依頼前の不安に名前をつける

  • 選ぶ基準 —「直してもらう範囲は、誤字・読みやすさ・主張の三つに分けて考えると決めやすい」として、どこまでを任せ、どこを自分に残すかの分かれ目を示す

  • 使う場面 —「一文が長すぎる段落を、意味を変えずに二つに分けるとこうなります」と、作った例文の前後を見せる

三つとも同じ素材メモから出ていますが、答えている問いが違うので、読み手にとっては別の投稿です。そして、どの投稿にも根拠になる元資料の位置が残っているので、あとで説明が変わったときに、どの投稿を見直せばよいかが分かります。

AIに渡すものと、人が確かめるもの

素材メモから投稿案を組む作業には、AIを使うこともできます。そのときは、渡すものと人が確かめるものを分けておきます。

AIに渡すのは、自分の元資料の該当部分、素材メモの「問い」と「答え・判断基準」、使わない表現の一覧です。反対に、AIに補わせないものがあります。自分が経験していない出来事や成果、実在の顧客の感想、確かめていない数字や効果です。素材メモに書いていないことを、AIがそれらしく書き足していないかを、人が確かめます。

また、次のものは素材メモにもAIへの入力にも入れません。

  • 相談者の名前や連絡先など、個人が特定できる情報

  • 契約や取引の中で知った非公開の情報

  • 引用してよいか分からない他人の資料

出す直前に人が確かめるのは、素材メモの「公開前に確認すること」の欄です。どの問いに答える投稿か、根拠の元資料と食い違っていないか、言い切りすぎていないか。この確認は、AIを使っても使わなくても、人に残す仕事です。

次の発信の前に、素材メモを見直す

素材メモは一度作って終わりではありません。次にそのメモから投稿を組む前に、二つだけ確かめます。

  • 根拠はまだ正しいか — 元資料の内容が、今のサービスや考え方と食い違っていないか

  • 更新が要るか — 新しく届いた質問や、自分の判断基準が変わったことを書き足す必要がないか

届いた質問に答えたら、それが既存のメモの問いと同じならそのメモに書き足し、新しい問いなら新しいメモを一枚作ります。こうして、発信の材料が日々の仕事の中で少しずつたまっていきます。

発信以外の仕事で、どれから整えるかを決めたい場合は、個人事業主の仕事を仕組み化するには|最初の一つを決める整理シートで扱っています。また、相談ごとの答えのうち、どこまでを共通の説明にしてよく、どこを相手ごとに判断するかの切り分けは、顧客ごとの個別対応を減らす方法|共通化してよい部分・残す部分に譲ります。

まとめ

SNS投稿のネタ切れを防ぐには、新しい話題を探し続けるより先に、自分が答えてきた問いと、その根拠になる元資料を素材メモとして残すことから始めます。

  1. 手元の資料を一つ選び、よく聞かれる箇所に印をつける

  2. 一つの問いにつき一枚、六つの欄の素材メモを作る

  3. 一枚から「困りごとの説明」「選ぶ基準」「使う場面」の三つの投稿案を組む

  4. AIに補わせないものを決め、出す前に人が確認する

  5. 次の発信の前に、根拠と更新の要否を見直す

まずは、今週いちばん多く聞かれた質問を一つ選んで、素材メモを一枚作ってみてください。

saas biz には、自分の事業の投稿案をつくる POST と、専門知識を記事や原稿にして残し発信に使う WRITS があります。発信の仕事にどう使えるか、saas biz のサービス紹介で確かめることができます。

この記事の下敷き

この記事は、自社の講座で使っている発信の資料と、SNS運用の資料、現在のサービスページから再構成したものです。

  • 発信の講座資料 — 相手の問いや声を集め、望む状態・避けたいこと・悩みを知る場として発信を使うという考え方

  • SNS運用の資料 — 管理を単純にするために、一つのコンテンツを用途に合わせて別の場所へ転用するという考え方。投稿先ごとの仕様や表示の仕組みに関する記述は、古くなっているため使っていません

  • サービスページ — POST と WRITS の用途の説明

六つの欄の素材メモ、三つの角度、作例、図は、上の考え方を本記事で組み直したものです。資料にそのまま載っている表ではありません。作例は説明のための架空の例で、実在の方の事例や効果を確かめた結果ではありません。記事の著者名と更新日は記事ページの冒頭に表示されます。

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