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個人事業主の商品づくり

個人のプラットフォームとは何か|顧客が使う環境と自分の方法を組み合わせる

公開

約7分で読めます

しろくま先生

個人のプラットフォームとは、顧客が使う環境に、自分の方法と判断基準を重ね、自分のブランドと顧客関係で提供することです。三つの部分に分けて定義し、自分の商売を書き込める対応表と、向かない場合の条件を整理します。

「プラットフォームを持つ」と聞くと、大きな会社が運営する巨大なサービスが浮かびます。個人の商売とは別の話に見えます。

ただ、すでに顧客がいて、その人たちに価値を届けているなら、話は変わります。自分のプラットフォームを持つとは、新しい巨大なサービスを立ち上げることではなく、顧客が自分の仕事のために使う場所を、自分の商売の中に持つことです。

この記事では、その定義を三つの部分に分けて説明し、最後に自分の商売を書き込める対応表を置きます。どう作るか(開発の方法)や、どの提供方式を選ぶかは別の記事で扱います。ここで確かめるのは、そもそも何を持つことなのかです。

個人のプラットフォームは、顧客が使う環境を持つ商売

助言や代行が中心の商売では、顧客に届くものが自分の稼働に寄りやすくなります。打ち合わせと打ち合わせのあいだに顧客が開くものが無ければ、その時間は止まったままです。

環境は違います。環境とは、自分がその場にいない時間にも、顧客の手元で動いているものです。顧客が予定を立てる画面、申し込みを受け取る仕組み、教材を進める場所、記録が残る場所。呼び方はさまざまですが、共通しているのは「提供者がその場にいなくても使える」ことです。

大きな会社は、たいてい自社の環境を持っています。予約や会員の場所があり、顧客はそこにログインして使い続けます。個人のプラットフォームは、この形を小さく持つという話です。

ここで一つ確かめておきたい問いがあります。

あなたがいなくても、その顧客が明日も使うものは何ですか。

答えが出ないなら、いま売っているものは環境ではなく、あなたの稼働に寄っている可能性があります。それが悪いわけではありません。ただ、そうであれば、来月の売上も自分の稼働から作る形が続く可能性があります。

なお、環境を持つことは「人が要らなくなる」ことではありません。判断は人が担い、環境は繰り返しと実行を担う、という分担です。自動で集客が回るとか、放っておいて成立するとか、そういう話ではありません。

環境に、自分の方法と判断基準を重ねる

道具を用意することと、独自の使い方を提供することは、別のことです。

同じ道具を使っても、何を先に聞くか、何を必須にしているか、何は使わないと決めているかが違えば、顧客の手元で起きることは変わります。この違いこそが、あなたが積み重ねてきたものです。

自分の方法を環境に重ねるとは、毎回口で説明していたことを、顧客が開く場所の側に置いていくことです。

  • 相談のたびに同じ順番で聞いていること → 入力の順番として置く

  • 「これが無いと先に進めない」と伝えていること → 必須の項目として置く

  • 「この言い回しは使わない」と直していること → 使わない言葉の決まりとして置く

  • 進め方の分かれ目で毎回使っている判断の軸 → 選択肢の出し方として置く

ここが抜けたまま道具だけを渡すと、「便利なものを教えてくれた人」で終わります。顧客にとっての価値は道具そのものではなく、その道具をあなたの方法で使えることにあります。

自分のブランドと顧客関係を持つ意味

三つ目の部分は、顧客から見た「これは誰のサービスか」です。確かめる点は三つあります。

  • 名前 — 顧客が見ている画面には、誰の名前と色が出ているか

  • 契約 — 誰と誰のあいだで取引が成立しているか

  • 問い合わせ — 困ったとき、顧客はまず誰に連絡するか

裏側の仕組みを借りていても、この三つが自分に残っているなら、それは自分の商売です。商品の呼び方も、顧客との関係も、そのまま持ち越せます。

逆に、名前も契約も問い合わせ先も他社に残るなら、それは他社のサービスを案内している状態です。顧客の役には立ちますが、顧客が使い続ける場所は自分の側にありません。この違いと、それぞれの向き不向きはホワイトラベルSaaSとは|自作・紹介との違いと個人事業主の選び方で整理しています。

三つの部分がそろうと、次の形になります。

図解

三つがそろった状態を、この記事では自分のプラットフォームと呼びます。図は構成を示すもので、そろえば使われるという意味ではありません。

一つずつ見ると、環境だけなら道具の紹介に近づき、方法だけなら助言のままで、名前と関係だけなら看板だけが残ります。

顧客が使い続ける場面から設計する

ここまでが定義です。自分の商売に当てはめるときは、機能の一覧からではなく、顧客の仕事から始めます。

見るのは、打ち合わせと打ち合わせのあいだの時間です。そこで顧客は何をしているか。何で止まっているか。何を後回しにしているか。

  • 毎週または毎月、決まって発生している作業はあるか

  • その作業を、顧客は自分の手で進められるか

  • 進めた結果はどこかに残るか

  • 残ったものは、翌月の作業の出発点になるか

この四つがつながると、顧客が翌月も開く理由ができます。逆に、開くたびに前回と同じ場所から始まるなら、続けて使う理由は生まれにくくなります。

そして、最初から全部を渡さないことです。顧客がいま一番クリアしたい仕事を一つ選び、その環境だけを置く。使われたら、次の仕事を足す。成長に合わせて足していく形のほうが、使われない画面を抱えずに済みます。

具体的な決め方の手順は個人事業主が自分のSaaSを作るには|開発前に決める5つのことで扱っています。

プラットフォーム化が向かない商売もある

すべての商売が環境を持つ形に向いているわけではありません。次のような場合は、無理に環境化しないほうが安全です。

  • 納品して終わる仕事 — 制作物を渡したら関係が完了し、そのあと顧客が開くものが無い

  • あいだの時間に顧客の作業が無い — 価値の中心が人の判断そのもので、対話のほかに手を動かす場面が発生しない

  • 顧客が毎回別の人 — 単発の依頼が中心で、同じ人と関係が続かない

  • 繰り返しが顧客ごとに違いすぎる — 共通の手順として置ける部分が見つからない

向いていないと分かることも、はっきりした収穫です。使われない画面を維持する仕事だけが増える状態を避けられます。

判断がつかないときは、いまの顧客を一人思い浮かべて、その人が先月あなたと話していない日に何をしていたかを書き出してみてください。書き出せるなら、そこに環境の余地があります。何も書き出せないなら、いまはまだ時期ではありません。

自分の商売を対応表に書き込む

定義を自分の商売に移すための表です。右の列は書き換えて使う記入例で、成果を確かめた例でも、推奨する形でもありません。

部分

確かめる問い

記入例(書き換えて使う)

顧客が使う環境

自分がいない時間に、顧客が開く場所はどこか

顧客が今週の予定を組み立てる画面

自分の方法

毎回同じ順番で聞いていることは何か

対象を一人に決めてから書き始める順番

判断基準

「これはやらない」と伝えていることは何か

使わない言い回しの決まり

自分のブランド

顧客から見て、これは誰のサービスか

自分の屋号と色で表示する

顧客関係

契約と問い合わせは誰に届くか

自分が契約し、質問も自分に届く

使い続ける場面

翌月も開く理由は何か

前月の記録の上に積み上がる

六つの欄が埋まれば、自分のプラットフォームの輪郭が出ます。埋まらない欄があるなら、そこが次に決めることです。

まとめ

個人のプラットフォームとは、顧客が使う環境に、自分の方法と判断基準を重ね、自分のブランドと顧客関係で提供することです。

  • 環境だけでは、道具の紹介に近づく

  • 方法だけでは、自分が動いた分しか届かない

  • 名前と関係だけでは、顧客が使い続ける場所が無い

大きなサービスを立ち上げる話ではありません。いまの顧客が、あなたのいない時間に開く場所を一つ持つ。そこから始まります。

個人でも自分のプラットフォームを持つ形を、説明会で見る

この記事の下敷き

この記事は、自社の説明会で使っている資料から再構成したものです。

  • 説明会資料の「個人のインフラ」の節 — 毎日使う仕事の土台という捉え方、「提供者がその場にいなくても動く」という条件、大きな会社が自社の環境を持っている対比

  • 同資料の「ご案内」の節 — 商品も顧客関係もそのまま活かせるという整理(名前・契約・顧客関係)、自分のノウハウをアプリ側に置くという考え方、全部を最初に渡さず今必要な一つを置くという順番、「人は判断。アプリは実行。」

三つの部分に分ける整理と、記事末尾の対応表は、上の考え方を「自分の商売に当てはめる場面」に合わせて本記事で組み直したものです。資料にそのまま載っている表ではありません。記入例は書き換えて使うための例で、効果を確かめた結果ではありません。向き不向きの条件も、読者が自分で確かめるための項目であり、診断の結果を示すものではありません。記事の著者名と更新日は記事ページの冒頭に表示されます。

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