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個人事業主の商品づくり

顧客向けの自社サービスを持つとは|業務SaaSとの違い

公開

約6分で読めます

しろくま先生

業務SaaSと顧客向けの自社サービスの違いを、機能ではなく「誰が使い、誰の仕事が進み、価値がどこに残るか」で比べます。まず自分で使い、必要なら顧客にも渡す進め方と記入シート付き。

自分の仕事を助けるツールは、すでにいくつも使っているかもしれません。予約、請求、メール配信、表計算。どれも契約した本人の仕事を楽にしてくれます。

一方で「顧客向けの自社サービスを持つ」という言い方もあります。こちらは何が違うのでしょうか。

先に答えを置きます。一般的な業務SaaSは、主に契約した本人の仕事を支えます。顧客向けの自社サービスは、顧客本人の仕事も支えられます。 そして saas biz は、この二つのどちらかを選ばせるものではありません。まず自分の仕事で使い、必要になったら顧客にも渡せる形です。

この記事では、違いを機能の数ではなく「誰が使い、誰の仕事が前へ進み、価値がどこに残るか」で比べます。最後に、自分の商売を書き込める記入シートを置きます。

違いは機能だけでなく、誰が使うか

ツールを比べるとき、つい機能の一覧を並べたくなります。けれど、同じ「記事を書く」「案内を送る」機能でも、それを開くのが誰かで、商売の中での意味が変わります。

次の表は、よくある四つの形を同じ軸で並べたものです。各行の主語に注意して読んでください。

形

契約する人

日常的に開く人

前へ進む仕事

価値が残る先

一般的な業務SaaS

あなた

あなた(とあなたの仲間)

あなたの業務

あなたの業務の記録。道具の名前は提供元のもの

制作代行

顧客があなたに依頼する

あなた(顧客は受け取る側)

納品物の完成

納品物。次の制作はまた依頼から始まる

saas biz を自分で使う

あなた

あなた

あなたの発信・案内・教材づくり

あなたの事業に残る原稿・案内・教材

saas biz を顧客へ渡す

顧客(あなたと契約する)

顧客本人

顧客本人の仕事

顧客の手元の成果物と進み具合、あなたの商品名のサービスとしての関係

上の二つの行は、どちらも良い仕事の形です。業務SaaSは自分の時間を守り、制作代行は顧客の手間を肩代わりします。違うのは、顧客が自分の手で開いて進める場所が、あなたの商売の中にあるかどうかです。

三行目と四行目は、同じ saas biz を使っていても主語が違います。三行目では、あなたが最初の利用者です。四行目では、顧客が利用者になります。どちらかが正解なのではなく、段階が違うと考えてください。

価値がどこに残るか

使った結果として何が残るかも、二つに分けて見ます。

自分で使うときに残るのは、あなたの事業の中の実務です。毎回口で説明していた案内が順番に届く形になり、繰り返す説明が見返せる教材になり、頭の中の専門知識が原稿として残ります。次に同じ仕事をするとき、ゼロからではなく残したものから始められます。

顧客へ渡したときに残るのは、顧客の手元の仕事です。顧客が自分で投稿案を作り、案内を整え、教材を進めると、その成果物や進み具合は顧客が使う場所に残ります。次に開いたとき、前回の続きから始められることが、また使う理由の一つになります。

さらに、その場所の名前があなたの商品名であり、契約と請求をあなたが持っているなら、顧客との関係もあなたの側に残ります。裏側の仕組みを借りていても、商品も顧客関係も、自分のものとして持ち続けられるということです。

ただし、ここに「使えば必ず続く」という約束はありません。残るのは、また使う理由を育てる余地です。続くかどうかは、その場所が顧客の役に立ち続けるかで決まります。この考え方は顧客に依存させず、選ばれ続けるサービスとはで詳しく扱っています。

自社サービスに必要な四つ

顧客向けの自社サービスとして成り立たせるには、次の四つがそろう必要があります。

  1. 顧客が使う環境 — 顧客がログインして、自分の手で仕事を進められる場所

  2. 提供者の方法 — 何を先に聞き、何を必須にし、何をしないか。あなたが積み重ねてきた進め方

  3. ブランド — 顧客から見て、それが誰のサービスに見えるか

  4. 契約と顧客関係 — 誰と誰が取引し、困ったときに顧客がまず誰へ連絡するか

環境と方法の組み合わせ方は個人のプラットフォームとは何かで、ブランドと契約の持ち方はホワイトラベルSaaSとはで整理しています。

一つ補足すると、このうち「環境」と「ブランド」を支える土台は借りられますが、「方法」と「契約と顧客関係」は提供者であるあなたの側に残ります。何を誰が決め、誰が実行するかは顧客が使い続けるサービスの役割分担で確かめてから始めると迷いません。

自分で使い、一つの顧客用途を考える

顧客向けにする前に、まず自分を最初の利用者にしてかまいません。自分の発信や案内で一度使ってみると、どこが便利で、どこで手が止まるかが自分の体で分かります。その感覚は、顧客に渡すときの説明にもそのまま生きます。

顧客に渡すと決めた場合も、全部を用意する必要はありません。一人の顧客の、一つの行動から始めます。

自分で使う道と、必要なら顧客へ渡す道。顧客へ渡さずに自分で使い続けることも、そのまま一つの形です。
自分で使う道と、必要なら顧客へ渡す道。顧客へ渡さずに自分で使い続けることも、そのまま一つの形です。

分かれ目の問いは「顧客にも同じ場面があるか」です。自分が繰り返し止まっていた場面と同じところで、顧客も止まっているなら、渡す候補になります。

ここで使うのが、次の記入シートです。四つの欄を左から順に埋めます。

契約する人

実際に使う人

前へ進む仕事

価値が残る先

例: 自分

自分

毎回の申込後の案内を順番に届ける

自分の事業の案内の流れ

例: 顧客(自分と契約する)

顧客本人

顧客が自分の投稿案を毎週つくる

顧客の手元の投稿案と、自分の商品名のサービス

(あなたの場合)

書くときのコツは二つです。「実際に使う人」の欄に、名前を思い浮かべられる一人を書くこと。「前へ進む仕事」の欄に、機能名ではなく動詞で書ける行動を入れることです。「SNS」ではなく「毎週投稿案を一本つくる」のように書くと、どのアプリの何から始めるかが自然に決まります。

向かない場合

次のような状態なら、先に別のことを確かめたほうが近道です。

  • 自分にも顧客にも、繰り返し使う場面が見えない — 一度きりの作業が中心なら、今の方法のままで十分かもしれません。まず、何度も同じことをしている場面があるかを探します

  • 誰のどんな課題を解くかが、まだ言葉にならない — この場合は、道具を選ぶより先に、顧客への聞き取りや小さな個別支援で課題を確かめるほうが確実です

反対に、「今すぐ渡す顧客がいない」ことだけなら、向かない理由にはなりません。自分を最初の利用者にして使い、顧客に見せられる使い方が一つできてから渡すかを決めても遅くありません。

まとめ

業務SaaSと顧客向けの自社サービスの違いは、機能の多さではなく、誰が開いて、誰の仕事が前へ進み、その価値がどこに残るかにあります。

saas biz は、まず自分の仕事で使えて、必要になったら顧客にも自分の商品として渡せる形です。どちらから始めるかを決めるために、上の記入シートを一行だけ埋めてみてください。

自分で使う場合と顧客へ渡す場合、それぞれで5つのアプリがどう使えるかは、saas biz のサービスページにまとめています。

この記事の下敷き

この記事は、自社の説明会で使っている資料、顧客向けの案内文の方針、現在のサービスページから再構成したものです。

  • 説明会資料の案内部分 — 「商品も、顧客関係も、そのまま活かせます」。契約と代金の受け取りを自分で持つから、商品も顧客関係も自分の側に残るという整理と、「全部を最初に渡さない。今必要な一つを置く」という順序

  • 顧客向け案内の方針 — 比べる軸は機能の数ではなく、誰が契約し、誰が日常的に使い、誰の仕事が前へ進み、その価値が誰のブランドに残るかであること。開発と保守の土台は借り、商品設計・契約・一次対応は提供者が持つという分担

  • サービスページ — まず自分の事業で使い、必要になったら顧客向けにも届けるという順序

四つの形の比較表、分かれ道の図、記入シートは、上の考え方を本記事で組み直したものです。資料にそのまま載っている表ではありません。記入シートの例は書き換えて使うための例で、効果を確かめた結果ではありません。記事の著者名と更新日は記事ページの冒頭に表示されます。

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