労働集約から抜ける
コンサルの売上が安定しない理由|毎月ゼロから作らない商売へ
公開
約7分で読めます
しろくま先生
売上が安定しない原因を集客量に置くと、その先が見えません。商売が毎月終了している構造から分解します。
今月の分は決まった。でも、来月がわからない。
カレンダーを開いて、再来月がまだ白いのを見たときに、少しだけ息が浅くなる。今は忙しいのに、その忙しさが来月も続く保証はどこにもない。売上が安定しない、というのは、たぶんこの感覚のことだと思います。
私も長いあいだ、この感覚と一緒に仕事をしていました。そして原因を「集客が足りないから」だと思っていました。
先に結論を書きます。売上が安定しない理由の多くは、集客の量ではありません。商売そのものが、毎月きちんと終了していることです。
「集客が足りない」で止めると、その先が見えない
売上が読めないとき、いちばん最初に浮かぶ対策は集客です。発信を増やす、紹介をお願いする、広告を出す。実際それで今月の数字は動きます。動くから、次の月もまた同じことをします。
ただ、集客だけを原因にすると、そこで思考が止まります。「足りないから足す」以外の選択肢が出てこなくなるからです。
そして、足りない側にいる自分が悪い、という話に落ちていきます。やり方が下手なのかもしれない、あの人はうまくやっているのに、と。ここは、はっきり書いておきたいところです。やり方が悪いわけではありません。むしろ真面目に一件ずつ丁寧にやっている人ほど、この状態になります。理由は後半で書きます。
集客の手を止めた瞬間に売上が止まる、という状態そのものについては、集客を止めると売上も止まる状態から抜けるにはで、自分の売上を仕分けるところから整理しています。この記事では、その手前にある商売の形の話をします。
売上を、二つに分けて書き出してみる
紙でも表計算でも構いません。直近三か月の売上を、次の二つに分けてみてください。
今月、自分が動いたから発生した売上
先月までに置いたものから、今月も発生した売上
面談、制作、返信、訪問。今月あなたが手を動かして、その対価として入ってきたものは前者です。後者は、あなたが今月何もしなくても入ってきたものだけを書きます。
多くの場合、後者はほとんど残りません。月額の顧問料や継続契約があっても、その月に打ち合わせをして、資料を作って、連絡を返しているなら、それは前者です。契約の形が月額でも、価値を発生させているのが毎回あなた自身なら、そこは「今月自分が動いた分」に入ります。
先に言っておくと、これは月額契約が悪いという話ではありません。顧問契約も、継続コンサルも、運用代行も、月額で成立しています。実際に何年も続いている人がいる。問題は月額かどうかではなく、自分が動かない月に価値が発生するかどうかのほうです。
書き出してみて、後者がゼロに近かったとしても、それは経営が下手だったからではありません。多くの人の商売は、そういう形で組み上がっています。
商売が、毎月ちゃんと終わっている
なぜ後者が残らないのか。仕事の中身を追いかけると、構造が見えてきます。
私たちが売っているのは、たいてい「課題の解決」です。集客が伸びない、発信が続かない、商品が決まらない。その課題を一緒に片付けて、片付いたら契約が終わります。
これは失敗ではありません。課題が片付いたのだから、その仕事は終わり。当然です。
つらいのは、うまくいくほど早く終わることです。時間をかけて丁寧に伴走して、相手の状態がよくなって、感謝されて、そして次の更新がない。だらだら続けたほうが長く契約が残る、という逆転が起きる。ここで「まだ終わってほしくないな」と一瞬でも思ってしまって、そう思った自分に少し嫌気がさす。これも、真面目にやっている人ほど経験します。
そして解約が出た分を埋めるために、また新規を探します。だから毎月ゼロから始まる。売上が安定しないのは、集客の努力が足りないからではなく、商売の設計上、毎月終了するようにできているからです。
この「終わる」構造そのものは、もう少し丁寧に見ておく価値があります。成果を売ること自体が悪いわけではないという話も含めて、良い仕事をするほど契約が終わる。成果提供型ビジネスの構造で分解しています。
終わらせない工夫は、しないほうがいい
ここで多くの人が最初に思いつくのが、終わらせない工夫です。
情報を小出しにする。次を取るための宿題を残しておく。解約しづらい導線にする。囲い込みという言い方もします。
私はこれをやらないほうがいいと思っています。理由は二つあります。
ひとつは、自分が自分を信用できなくなることです。相手のためにやっているのか、来月の数字のためにやっているのか、途中でわからなくなる。提案のたびに少し後ろめたさが混ざる仕事は、長くは続けられません。
もうひとつは、相手にわかるからです。何度か更新しているうちに、この人は終わらせたくないんだな、ということは伝わります。伝わった瞬間に、それまでの信頼のほうが目減りします。
もっと素朴な問題もあります。終わらせない工夫を足すと、自分の手数が増えます。売上を守るための作業が、提供の作業の上に乗る。売れているのに時間が減っていく感覚は、ここからも生まれます。この、売れるほど自分の手が塞がっていく動きについては、売れるほど忙しい。コーチ・コンサルが次の集客をできなくなる構造に分けて書きました。
抜け道は「次を持っているか」だけ
では、どうするか。
終わりを避けるのではありません。終わったあとに、次を渡せるかどうかです。
歯医者がわかりやすい例だと思います。虫歯は治せば来なくなります。ちゃんと治すほど患者が減る。構造としては私たちと同じです。でも歯医者は、治療が終わったところで「次は三か月ごとの検診ですね」と切り替えます。患者のほうも納得します。また虫歯にはなりたくないからです。
これは引き止めではありません。治療という課題が片付いたあとに現れる、予防という次の課題に、先に手が届いているだけです。
顧客の課題は、解決すると消えるのではなく、形を変えます。集客ができるようになったら、次は対応が回らなくなる。対応を整えたら、次は同じ説明を何度もしていることに気づく。まとめて渡したくなって、教える形にしたくなる。階段のように続きます。
だから、次を持っている人の商売は、売り込まなくても続きます。向こうが次に困るからです。逆に、次を持っていない人の商売は、どれだけ良い仕事をしても一段ごとに終わります。
ここで気をつけたいのが、じゃあ最初に全部渡せばいい、という発想です。これはうまくいきません。最初に全部渡すと次に渡すものがなくなりますし、それ以上に、多すぎるものは使われないからです。全部入りのツールに構築代行という商売が成立しているのは、渡された人が自力で使えていないということでもあります。そのとき使うものだけを渡す。順番があることのほうが、相手にとっても親切です。
今日できるのは、ひとりぶんの書き出し
ここまでの話を、明日から全部やる必要はありません。私が最初にやったほうがいいと思っているのは、二つだけです。
ひとつ目は、今いる顧客をひとりだけ思い浮かべて、その人が次に困ることを書き出すこと。今の契約が終わったあと、三か月後にその人の前に現れる課題です。想像でかまいません。ひとりぶんで十分です。
ふたつ目は、そこに渡せるものをひとつだけ決めること。新しく作らなくても、今あなたが毎回口頭で説明していること、毎回同じ手順で作っているもの、判断の基準として頭の中にあるもの。その中から一つで足ります。
この二つが書けると、来月の売上の話が「あと何件取るか」から「今いる人に次に何を渡すか」に変わります。同じ売上の話でも、後者は積み上がります。
私はこの話を、月に一度の説明会で最初から順番に話しています。今回書いた「毎月終了する」構造をどう組み替えるのか、実際の画面を出しながら扱います。無理にお誘いはしません。今の商売の形が自分に合っているなら、そのままで問題ないと思います。
その前に、成果を売ることと、終わらない商売の関係だけは誤解されやすいところです。次はこちらを読んでみてください。
次に読む → 良い仕事をするほど契約が終わる。成果提供型ビジネスの構造
[CTA]説明会で、順番に話しています → [要確認: 説明会 URL]
